《有難い 適度な密の 心地よさ》

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 和算の計算問題の一つに,ねずみ算があります。正月に雌雄2匹のネズミが12匹の子を産み,2月にはその親子のネズミ七つがいがそれぞれ12匹の子を産み,毎月このようにネズミが増えていくと12月には何匹になるかという問題で,答は276億8257万4402匹になります。数が急激に増えることの喩えに使われます。このねずみ算を実際に確かめた人がいました。
 広い倉庫を理想的な環境にしてネズミのつがいを放しました。予想通りどんどん増えましたが,ある数まで増えると急激に死ぬネズミが出てきて,最高時の3分に1になりました。そこからまた増え始めて減少するということを繰り返しました。多数でいるストレスで,脾臓が腫れて副腎に異常が現れていました。数学の計算では,ストレスなどの環境条件は無視されています。
 アリゾナのケイハブ自然公園で,鹿を増やすために,狼、ピューマ、コヨーテといった肉食獣を殺しました。お陰で鹿はどんどん増えて数十万頭にまでなりましたが、鹿が一気に死に始めました。草木を根っこまで食べてしまい食糧不足に陥ったと思われました。実は,食料があるときから鹿は死に始めていました。多くなりすぎてストレスのために死んでいたということです。
 密集した暮らしから生じるストレスを回避するために,他者に対する無関心という自己防衛機能が過度に働くと考えると,コミュニケーションの力が衰退していくきます。コミュニケーションを通じて対等な関係意識が育まれると思われるので,他者にも人権があるという認識は薄まっていきます。コロナ禍のような特異な状況に対するフィジカルディスタンシングも,密着の危険性というストレスの回避ですが,他者との心情のつながりまで拒否してしまうと,マスク警察などの人権侵害に行き過ぎてしまいます。
 都会の雑踏の中ですれ違う人に気配りをすることは不可能なので,無意識のうちに人だと思わないようにしています。時折発生してしまう凶行する犯人の「被害者は誰でもよかった」という発言がありますが,無関心なその他大勢という他者意識がもたらす過誤のように思われます。人が生きていく社会にもそれなりの人口規模があるかもしれません。都市化していく現状に,いずれストレスが強い逆風になるのかも思われますが,それを回避する知恵を人は発揮できると願っています。

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(2021年02月21日:No.1091)