《有難い 嘘はいずれか ほころびる》

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 正直者が神の加護を受けて必ず勝つという信念に基づいた神明裁判の一つの方法として,夏の暑い日,争っている二人に濡れた着物を着せて,早く乾いた者を正しいと決めるというやり方がありました。ところが,悪い者ほど知恵が働き,途中で誤魔化すなど,結局は正直者が敗訴になることが多く,そこから「濡れ衣を着る」という表現が生まれたそうです。
 神の手に変わるものとして,事実・真実を積み上げた論理によって真偽・正邪が判定されるようになりました。ところが,真実にも曖昧さが紛れ込む場合があります。嘘を真実と言い張る者がいますし,正直な者でも思い違いや理解力不足とか,無意識の願望によって真実でないものを真実と思い込むことがあります。
 ゴルフコンペには,勝者の表彰の他に、ブービー賞というビリから2番目の人の表彰があります。元々はスペイン語のカツオドリのことで,大航海時代に不用意に帆にとまり,船員に簡単に捕まるので,マヌケという意味を持つようになり,英語でブービーとなって,競技の最下位の人を指すようになりました。ところが,この最下位であるブービー賞は狙うのは簡単です。わざと悪いスコアを出す人も出てきました。そこで,狙っても取りにくいビリから2番目に変えられたのです。
 人は弱いもので,正直であるべきとの思いに目を瞑って,欲に目を眩ませることがあります。その弱さを咎めるよりも,その弱さが現れないシステムをつくることが大切です。その知恵が人にはあると,神は期待しているのかもしれません。
 嘘をつくと後ろめたい思いがして落ち着きません。嘘発見器という器械で嘘を見破ることができるのは、人は正直でないときに異常な反応をするからです。子どもが嘘をついたとき,母親は何かを感じて見破ってしまいます。何らかの信号が発せられているのでしょう。最近の機器の発達はとてもスゴイので,やがて話し手の嘘を見破って警告を発するアプリが登場するかもしれません。個人生活では詐欺電話ができなくなるとか,世間では横領などができなくなるとか,国際的には陰謀などができなくなるとか,安心できる暮らしができることでしょう。
 でも,そのようなアプリができても,そのアプリをすり抜けるアプリができてしまうかもしれません。悪知恵は侮れないでしょう。堂々巡りは世の常ということを思い出してしまっても,諦めることなく新たな対応を巡らせればいいのです。

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(2021年03月28日:No.1096)