《有難い 学びがあって 和やかに》

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 憂鬱のように,読めるのに書けない字があります。犬や猫を普段よく見て知っているのにちゃんと描けません。おしゃべりはできるのに,改まって説明するとなるとできません。書く,描く,話すという行動はいずれも作り上げるという共通性があり,細かなパーツを理に適うように積み重ねる工程が必要です。
 サイコロの目の一を上向き,二を手前にしたとき,三の目は左右のどちらでしょう。サイコロの正しい目の位置は,一天地六南三北四東五西二です。一を上,下は六,五を東,西は二,南を三,北は四が来る形です。さらに三の目は右上から左下に三つの点,二の目は左上と右下に二つの点が彫られます。また,各面の重さを均等にするために,一の目を最大にして,二,三,四と順次目を小さく彫って,削った重さを六つの面で同量にします。今は一の目だけが大きく彫られていますが,名残です。
 モノ作りには設計図が必要であるのと同様に,人と人の関係をつくる際にも合理的な配慮に沿わなければ不都合を生じます。社会生活でのトラブルは,関係を組み上げている動機,立場,作用といった要素に理不尽なパーツが紛れ込んでいるときに起こります。不都合なところを見抜くためには,正しい設計図と比較検証をしなければなりません。
 憂鬱という字で線の不足や余分があって似ているが違っている字を修正するためには,正確な字を知っておかなければなりません。同じように,自らの人間関係の細部を一つ一つなぞって点検することが大事です。感情の高ぶりによって手が震えていては,書かれた文字はいびつに歪んで,紛らわしくなります。同じように,欲に紛れた行動をすると,人との関係は拗れてしまいます。常に自らの振る舞いには,落ち着いた気配りができるようにしたいものです。

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(2021年06月20日:No.1108)