家庭の窓
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風が吹けば桶屋が儲かるということわざがあります。
1.大風が吹くと,土ぼこりが立つ
2.土ぼこりが目に入り,目の不自由な人が増える
3.目の不自由な人は三味線を買う
(当時の目に不自由な人が就ける職に由来)
4.三味線に使う猫皮が必要になり,ネコが殺される
5.ネコが減れば,ネズミが増える
6.ネズミは桶をかじる
7.桶の需要が増えて,桶屋が儲かる
このように,ある事象が発生することによって,一見すると全く無関係に見える所・物事に影響が及ぶという例えです。
この因果関係を面白がっているだけではなく,連想を添えて考えてみましょう。日常生活では,因果の関連を二つ三つとつないでいくとカドが立つので,常識によって適当なところで因果の連鎖を断ってしまわないと,おかしなことになりかねません。
しかし,法の世界では,原因を作った側として最終的に責任を問われかねません。刑事事件では,刑罰に関する事柄は制限されるべきであるという原則に従い,因果を追いかけていくのは制限があるそうです。ところが,民事の場合には金銭で決着を付ける場合が多いので,その金が十分に出せるところまで社会的正義等の名の下にさかのぼっていくことになるそうです。
いじめられる側にも責任があるとか,言うことを聞かないから体罰や虐待に及んだとか,人権侵害が起こったときに,その原因を遡ってみせることによって,責任を幾分かでも転嫁しようとすることが起こりえます。その果てが「社会が悪い」という物言いです。風が吹けば桶屋が儲かるという論理の危うさは通用しません。過ぎたるは及ばざるがごとしで,三段論法で停めておいた方がよいようです。
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