 家庭の窓
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明治４年に東京・大阪・京都で始まった政府の郵便事業は，すぐに全国展開され，逓信省が生まれました。そこで，一目で分かる記号が必要と考えたのが，明治20年に逓信大臣であった榎本武揚でした。逓信省の頭文字の「テ」からマークを思いつきましたが，公表のときに担当者が間違えて「Ｔ」として告示してしまいました。（逓信省のアルファベット表記の頭文字という説もある）。ところが，郵便事業界では料金不足を意味する世界共通のマークに既にＴが使われており，公表を押し通すこともできず訂正の告示をして，「〒」が発表されました。
電話の自動交換が始まったのは，大正15年のことです。その際に，緊急を争う火災を知らせる番号には，ダイヤル時間が短い番号がよいだろうと考えられて，１１２番が採用されました。ところが，実際には火事で慌てているときに１１２を回そうとすると，つい１１１や１１３を回してしまう間違いが頻発しました。そこで，昭和２年10月１日になって，消防署の番号は１１９に変更されました。時間が短くて済む１を２回ダイヤルして，一呼吸置いて９を回すことで，正確なダイヤルがしやすいように配慮されました。
人の思惑は，思い込みに依るために，思い落としがあります。思い込みは，思いの中に入り込んでいる状況であり，思野が狭くなっています。そのため，思い至らない部分が生じてしまいます。新しいことを思いついたとき，試行したり確認したりという行動を添えてみることです。思いもよらないことが起こることもあるはずです。そのことを想定して，柔軟に対応をすることが大切です。経験が学びになるのは，その柔軟なフォローによる効果なのです。
個人的な人間関係においても，不都合なこと，理不尽なこと，非合理的なことに至ったときには，速やかに改める思慮が望まれます。改めるに憚ることなかれという潔さが大人の嗜みです。改めることができるときにこそ，許しがあります。
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