家庭の窓
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新潟市を流れる信濃川は,全長が三百六十七キロメートルで,日本一長い川として知られています。信濃川の名は,信濃から流れてくる川だからです。この川を遡ると長野県に入りますが,そこでは千曲川と名を改めます。すなわち,信濃川と呼ばれているのは下流の百五十三キロメートルなのです。
千曲川の名は,最上流の川上村の伝説では,大昔,神々が戦ったときに流された血潮によってできた川で,血潮が隈なく流れたことから血隈川と呼ぶようになったといわれています。しかし,一般的には,くねくねと何度も曲がって流れていることから千曲川と名付けられたいわれています。曲がりくねっているために,川筋が長くなっています。千曲川と呼ばれている部分は二百十四キロメートルとなります。
人が悩み事に向かっているときにも,ああでもないこうでもないと紆余曲折するものです。その途上で立ち止まると,自分がどこにいるか見失います。どこに向かえばいいのかを決めるためには,自分が今どこにいるかが分からなければなりません。地図を見るときに,現在地が不詳ではどうにもなりません。道筋を知っていそうな人に相談して,先ず自分はどこにいるのかを教えてもらいます。そうすれば,進む道は自分で選ぶことができます。
暮らしの中でも,あれこれを決める場面があります。朝の起床でも,今何時の時間に自分がいるかということが分かれば,決めることができます。昼の献立も,このところ自分が何を食べてきたか,最近食べていないものは何かといった自分の食歴の現状を振り返ることで選択ができます。ゆく川の流れは絶えずして,しかも元の水にあらずと語られたように,モノもコトも動いています。今ここで,という現状をきちんと認識できていないと,自分を見失って不安になります。
孤独になると怖くなるのは,自分を見失うからです。誰かと関わりを持ち,様々な情報の交換を行うことによって,人は自分が今いる現状を観測しています。現状を知らなければ,自分がどう動けばいいのかを決めることができません。人が情報を求めて止まないのは,孤独に陥る不安から逃れたいからです。ただ,現在その情報をネットに頼りすぎていることが心配です。確かにあらゆることを手軽に知ることができますが,自分の身を追い立てられてしまうことがあります。人はできているのに,自分はできていないと。情報過多の中で,かえって自分を見失っていくのは要注意です。もっと我が身に身近な世界のことを知るべきです。
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