《有難い 年の功かも 先ず聞こう》

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 understand。分かる,理解するという意味の英語です。この英語は二つの部分underとstandに分けることができます。それぞれに意味があり,重ねると「下に立つ」となります。英語に関わりのあるゲルマン系のアングロサクソンという狩猟民族では,リーダーが決定権を持っています。集団の中でリーダーの「下に立つ」ということは,リーダーの意図をくみ取り理解することが求められます。そこに堅い結束力が生じて強い集団になることができます。
 東洋の農耕民族にとっては,山野を切り拓き山と里を分けたり,田畑をかき分けたりすることが生きることでした。長がどのように分けるかということを考え,皆が分かることで集団の作業が可能になります。かみ砕いて飲み込むという元の意味から,分けるが分かる,理解するという意味を持つようになりました。因みに,分には分を弁えるというように,「下に立つ」と通じるところがあります。
 分かるということが価値ある情報の伝達であるなら,上位から下位に流れる図式が想定されます。分かってもらおうとする演説や講義は,上段から下段に向かって言葉が流れるように配置されています。リーダーを尊敬している場合は,分かろうという思いが自らを下位に置くことになります。パワハラは強者と弱者という上下の位置を利用して無理矢理分からせようとする行為になります。相談では傾聴という態度が求められますが,傾きという上下の位置関係を自ら意図的に作り出すことにより,分かろうとしているのです。
 沈黙は金なり,雄弁は銀なり。その昔,天然の鉱石では金よりも銀の方が手に入りにくいことから,ものが言えないより雄弁の方が価値があるという諺であるという説明もあるようです。ただ,「沈黙は金」と単独で使われて,余計なことは言わない方がいい,という状況が多いようです。雄弁は二流,沈黙が一流という,銀より金が上という順序が落ち着きがいいようです。
 さらには,この沈黙を単に話さない方がいいということで納得するのではなく,自らは沈黙することによって,相手の雄弁を聞くようにすることができて,結果として相手をよく理解しようということに金の価値を与えていると考えるべきでしょう。雄弁と雄弁では単に主張し合うだけです。良く聞く力がなければ,よりよい関係に止揚することはできません。先ずは黙って話を聞こうよ,それが分かり合えるコミュニケーションなのです。

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(2021年11月07日:No.1128)