《有難い 五感それぞれ 友もあり》

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 利口なことを目から鼻に抜けるといいます。鎌倉時代,あるお坊さんが小僧を連れて檀家を回っていました。小僧が,行く先々でいただくお布施の額をピタリと予想するので驚きました。訳を尋ねてみると,家の造作を見て,流れてくる香の匂いを嗅げば分かるというのです。香には,杉,椨,蓬,白檀,沈香とピンからキリまであります。そのどれかが分かれば,その家の懐具合が分かり,お布施の額も推察できるということです。目で見分け,鼻で嗅ぎ分け,得た情報を鋭く頭で読み解くのです。
 まぜこぜにすることをチャンポンといいます。チャンは鉦(かね)の音であり,祭りのお囃子などでチャンチャカと打ち鳴らします。ポンは鼓の音であり,能の囃子方がポンと打つのをテレビなどで聞いたことがあるでしょう。昔は,祭りは大衆的なもの,能は上流階級が楽しむ上品なものとされていました。この全く異なった世界の二つの音をチャンポンと一緒に打ち鳴らすのは型破りということになります。長崎チャンポンは具がごちゃ混ぜで麺類の食べ方としては型破りでした。音の世界を食べ物にリンクしています。
 五感によるそれぞれ違った情報を組み合わせることによって,人は物事を総合的に解き明かしてきました。異なった領域の物事を型破りに結びつけて新たな世界を創造もしてきました。少し飛躍をしてみると,経験の違う3人の知恵を寄せれば文殊の知恵という故事も同じです。異業種の人との付き合いが良い刺激になるのは,融合が化学反応を起こして活性化に作用することです。
 人が迷い道に入り込んだとき,同じ所を堂々巡りをしていることがあります。何となく近くのものに向けていた視線を上に上げて,遠くにあるものを目指して動き方を寄り添わせてみることです。普段の暮らしでも,側に誰かがいるのなら相談してみると,きっと異なる観点がもたらされ,出口が見えてくることが期待されます。

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(2021年11月14日:No.1129)