《有難い できる喜び 健在で》

Welcome to Bear's Home-Page
ホームページに戻ります

家庭の窓にリンクします! 家庭の窓


新年のごあいさつです
 今年も皆様に良き年でありますようにお祈りいたします。

 男性が何気なく着ているワイシャツのボタン穴は縦向きです。理由は二つあります。一つは,男物のシャツは生地の目が縦のため,ボタン穴も縦に切った方が丈夫で,きれいにカットできるということです。もう一つは,男物のシャツには縦縞の柄が多く,縦にカットした方が目立たずに見た目も美しいからです。
 ただし,例外として,一番上のボタン穴がたいてい横にあいています。横にあいている分だけボタンが横にスライドできて,首をきつく締めないようになっているのです。襟の生地は横向きです。
 男のファッションの一つ,ボタンダウンのシャツ。1900年,ニューヨークの紳士服店の当主であるブルックスが,イギリスのポロ競技を観戦していました。ポロ競技は馬にまたがった選手が棒でボールを打って得点を競う上流のスポーツで,服装も襟のあるシャツとされていました。ブルックスは,選手がボールを打つ度にシャツの襟が頬に当たっていることに気がつきました。プレーにも支障を来すと思い,襟をボタンで留める方法を考えました。このシャツを,ポロカラーシャツと名付け,やがてボタンダウンとしてニューヨーカーたちに定着していきました。
 どうということのない細部に機能的な意図があり,それ故にたんなる飾りを越えた美しさが備わります。人に優しくなければ美しくない,そういう機能美という複合的な価値を築いてきた先人の知恵を意識しつつ,人に優しいふるまい,美しい振る舞いを目指していくことにつないでいきたいものです。
 人には機能快というセンサーがあるということです。例えば,手足を十分に働かせて複雑な動きができるようになると心地良いという感覚です。赤ちゃんが立って歩くようになると,自分の身体の機能が働くので気持ちよくなるのでしょう。スポーツの練習でも,できなかったことができるようになったときのあの興奮があるから,頑張ることができます。人が備えている機能を存分に発揮できるようになりたいと,できたときの快感を求めて,人はそれぞれの可能性を求めて成長していくことができます。
 人は動物であると定義し,動くことで生きていると自覚してきたことを思い起こしておきたいものです。現在の生き方を眺めると,情報過多になる一方で,なるべく身体を動かさずに楽をするという道を選んでいますが,折角の機能快を封じ込めているのは気がかりです。確かに視聴覚世界に関わる脳機能は快適かもしれませんが,五体という全体のバランスを欠いた機能の偏向は行き過ぎてはいけないでしょう。

ご意見・ご感想はこちらへ

(2022年01月02日:No.1136)