家庭の窓
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アメリカの詩人ロングフェローは老境を越えても,頭髪こそ白くなりましたが,顔色は良く肌もつやつやしています。久しぶりに会った知人が「ずいぶん若々しいですね。秘訣は何ですか」と尋ねました。ロングフェローは庭の大きな木の方に顔を向けて答えました。「あの木を見てみなさい。あの木はもう老樹といってよいでしょう。それでも毎年,あのように花を咲かせ,実をつけています。そうできるのは,毎日,少しずつでも成長を続けているからです。老年になっても,たとえ少しずつでも成長しようと心がけています」。
人は先人から膨大な知恵を授かることによって,しあわせになることができます。繰り返されていく世代の交代は,振り出しに戻ることではなくて,らせん階段のようにしあわせに向かって世代ごとに一段ずつ登っていくことです。もちろん,知恵をしっかりと受け取り,心豊かになることがしあわせの階段に擬せられるのです。
しあわせの実現には,知恵を受け継ぐことを目標に学習することが必須です。ここ数週間この欄で考えてきた決定する,安心する,表現する,参画する,希望することが,皆が共有すべき価値に適うものになるためには,知恵の裏付けが必至です。
社会は人々がお互いを尊重するために知恵を共有しています。社会の存在価値であるお互いを尊重するという願いのあるべき形を知恵の隅々にまで実現することが,しあわせな社会に向かう道筋です。
しあわせは仕合わせとも書きます。仕(する)を互いに合わせる,そういう人との関係の中にしあわせがあります。するという行為は,したらこうなるという期待に基づいてなされます。今を良くしていこうという期待は,自分に向かえば成長することになりますし,社会に向かえば発展となります。生きることが幸せになる,日々がそう思えるようでありたいと,することを探しています。
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