《見て聞いて 分からぬ言葉 触れてみる》

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 暮らしにまつわる話題については,かなりバリアフリーに語ることができます。言葉の意味が共有できるからです。ところが,趣味や仕事の話になると,いわゆる専門用語が絡んでくるので,滑らかな意思の疎通がしにくくなります。普段お目に掛かったことのない用語が飛び出すからです。
 例えば,最近「インターネット」という技術用語がかなり広まってきました。耳にする機会も多いのですが,パソコンや携帯メールを使っていないと,何のことやら分かりません。あるいは,たとえメールを使っていても,インターネットというものがあるという程度の認識で留まっている場合もあるでしょう。知らなくてもメールは使えてしまうからです。
 知らない言葉は意味を尋ねたり調べたりすれば,知ることができます。インターネットとはコンピューターによって情報交換ができる国際的な通信情報サービス組織のことだそうです。そう言われても,もう一つピンと来ません。国際的な組織とやらが体感できないからです。例えば,東京のどこそこに日夜情報を取り仕切っている何階建てかのビルがあり,その写真を見たことがあるといった具体的なイメージを持てたら,いくらかましかもしれません。でも,そんなものはありません。
 明治時代に電信が敷設されたとき,東京に出ている子どもに届けたい物を電線にぶら下げた親がいたという話がありますが,電信とは電線を伝って届くものであり,日常的に届け物として思いつくのは小包であったために起こった勘違いです。人は自分の持っているイメージでしか新しい物事を分かり得ないのです。
 暮らしの中には,たくさんの分からないことが溢れています。どうしてカラーの映像が見られるのか,どうしてスイッチポンでご飯が炊けるのか,どうして携帯電話で話せるのか,どうしてファックス電話で書類が送れるのか・・・。知らなくても使うのに別に困りはしません。パソコンもインターネットも使う分にはマニュアル通りにすればいいのですから,中身を分かっておく必要はありません。もっとも,そのマニュアルが難解ですが。
 ところで,何かを作ろうとか,始めようとか,変えようとか,何かしら現状を飛び出そうとするときには,中身が分からないとどうしようもありません。そこで本を読みますが,チンプンカンプンです。知らない言葉のオンパレードです。そのバリアを越える最も簡便な方法は,見て触ってみることです。実際に体験したことと言葉を逐一結びつける作業をすれば,そのときはじめて言葉を理解することができます。

(2002年06月23日号:No.117)