《有難い 些細な羽目は 許されて》

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 江戸時代,武士の子どもたちは,各藩に設けられた藩校に通いましたが,農民や町人の子どもたちは寺子屋に通って勉強しました。そこで学んだのは主に読み書きそろばんです。
 寺子屋は,普通男女共学でたいてい20〜30人くらいの規模でしたが,これくらいの子どもたちが集まると、何かと騒がしいものです。そこで寺子屋の入口の壁には,今の校則のような禁止事項が紙に書いて張り出されていました。
 男の子の場合,@父母と師の申しつけを守ること。A服装を正しくして,礼節を重んじること。B喧嘩口論をしないこと。C手習い中は高笑い,いたずらをしてはいけない,というものでした。やはり,男同士でケンカをしたり,女の子をいじめたり、からかったりする子がよく注意されたようです。
 女の子が守るべき校則は,もっぱら噂話を禁じたもので,@頭のよしあし,A着物のよしあし,B暮らし向きのよしあし,Cムダ口。告げ口,高笑い,D友および男子の噂が禁止されていました。
 違反した場合,お仕置きも決められていて,男女ともに最も多かったのが「七つ時(午後4時頃)までの留め置き」,授業が終わっても、2〜3時間は寺子屋から帰さないというものでした。また,寺子屋によっては,鞭打ちや立たせることも行われていました。お灸を据えられることもあったようです。
 寺子屋は社会活動であることから,落ち着きのある状況を維持する義務が生じます。共同を損なう振る舞いが現れないように、自制すべき具体的な目安が校則になります。普通にしていれば,禁止事項は必要ありません。ただ自制の未熟な子どもは,やり過ぎてしまうことが起こるので,禁止事項を示す必要があり,さらに禁止事項に違反しないように意識させるためには,お仕置きを用意しておきます。
 禁止事項は大まかです。子どもが羽目を外してきたとき,いきなり違反と断じてお仕置きとはしません。羽目を外してきて,子どももそれと分かるような事前の所で注意をします。そこで止めれば,よしとします。注意をしても止めずに続けていたら,強制的に止めさせて,軽いお仕置きです。
 注意をする際に,伝えるべきことがあります。なぜ注意をするかということです。校則の禁止事項に触れるからではなく,他の子どもたちに迷惑になるから,学ぶ権利を邪魔をすることになるから,という理由を学ばせなければなりません。私の勝手な振るまいが私たちの学びを邪魔するという,社会の仕組みに関する学びが目標になるべきです。迷惑を掛けないように自制する,それが人間関係を損なってしまう前に実行すべき停止行為です。

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(2023年12月03日:No.1236)