《有難い 環境変わり 子も変わる》

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 小1プロブレムというものがあるようです。学校に不適応な状況です。例えば,授業中に席を立つ,教室の外に出る,騒いだり,暴れたり,先生に暴言や暴力を,といったことがあるようです。褒める育てでは対応できません,厳しく叱らなければなりません。ところがそれには心を傷つけたという親からのクレームが入ることになって,先生は叱れない状況にあります。
 そのような状況に陥った背景として,家庭におけるしつけが十分ではないために,子どもに自己コントロールする力が身に付いていない,自己中心的な傾向が強いといったことが指摘されます。この論評の構造では,家庭教育の不備が元で学校教育に問題がもたらされているという筋になります。でも,自己コントロールする力を身につけるのは家庭のしつけであるとはならないはずです。家庭には家庭でなすべき役割があります。
 今子どもの周りには,家庭と学校しか存在しないことが問題なのです。子どもの人間関係に投影すると,家庭と学校で子どもに対するのは親と先生という大人です。子どもは,しつけや指導という上下の縦の働きかけしか受け止めていません。そこでは子どもは従順か反抗かの二者択一しかなく,自己コントロールや自己中心といった自己に向き合うことはできません。
 子どもが自己に向き合うのは,異年齢からなる子ども集団において可能となります。集団の一員として遊びなどの活動をする中で,順番を待つとか,年上の子どもの姿を真似するなど,自分がどうするといいのかを身につけていきます。いきますではなく,いきましたと過去形にすべきです。子ども集団があった地域が存在していません。今の地域は子ども会などの行事しか出会いがないものであり,子どもの地域生活は存在していません。地域教育という機能が欠損しているのです。
 子どもの生活時間を見ると,夜から朝の間は家庭で,朝から午後までは学校で,放課後から夕方までは塾や学童保育で過ごしています。子どもたちだけで自主的に過ごす時間は見つけられません。子どもたちだけで過ごす時間を与えられない,その大人の保護感覚が子どもの育ちを部分的に封じてしまったようです。ただ,それは今の大人が選んだ子どもの育て方であり,小1プロブレムという問題を抱えてしまう学校の在り方を大人が変えていないだけと言えます。子どもが変わって,時代が変わっていきます。どういう世の中になっていくのでしょう。

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(2024年01月28日:No.1244)