《有難い 多様な動き 自覚して》

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 今の暮らしの世界は徒歩の規模を超えて成り立っているので,車がないと苦労することになります。車社会なのです。そこで事故が起こると,アクセルとブレーキの踏み間違いが原因と言われ,運転者は高齢者と伝えられることが増えてきました。その次には,高齢者の免許返納が社会の要請であるかのような雰囲気になっています。もう少し現実的な余裕が産まれないものかと思います。
 踏み間違いは確かに事故の原因ですが,その踏み間違いの原因は高齢という年齢なのでしょうか。高齢者とだけ言い立ててけりをつけるのではなく,運動機能の整備不良が原因であると考え,どのような運動機能が運転操作に必須であり,普段の運動状況との相関を明らかにすることが事故撲滅の本筋ではないでしょうか。確かに高齢者は運動機能の低下を招いていますが,その実情は年齢だけで判別することはできません。いわゆる,個人差があります。
 運転免許とは年齢で与えるものではなく,個人が技能検査を経て取得できるものです。そこで,制度としては,更新時に運転能力の確認をすることが必至となり,高齢者の更新時にはその実施講習が義務づけられています。そこまではいいとして,更新期間の3年間の運動機能の衰退が問題になってきます。高齢者が自主的に機能の判定ができるようにしてもらえれば,安心することができます。
 高齢者としては,普段の運動訓練としてどのような能力を維持するように心掛ければいいのかを教えて欲しいはずです。事故の検証でも,どのような運動機能が不足していたのか,運転技能訓練での検証などに踏み込むべきです。高齢者が原因とだけ言って済ませているのは怠慢でしょう。
 日常生活で,歩数が1000歩に至らないとか,早足で歩くことが困難であるとか,階段を上ることがないとか,足使いの様子に留意する指針があれば,運動機能を維持する機会を得て,衰えを低減することができます。大切なことは,高齢者個人が運転能力の確認をすることです。自分のことは分かりにくい,気がつきにくいものです。自覚がないままの衰えの放置が,事故の誘因なのです。

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(2024年07月07日:No.1267)