《考えが 過ぎない前の 運任せ》

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 明けましておめでとうございます。2003年もよろしくお願いいたします。

 2000年4月からオープンした「徒然窓」も足かけ3年になります。リビング誌に掲載されたコラムから通算すると6年間,毎週何らかのコラムを綴ってきましたが,よく続いたものと思います。見たこと,聞いたこと,したことなどのいろんな関わりから感じて考えたことを文字に移し替えてきました。それは自分の発見でもありました。
 文章とは面白いものです。読み返すと,こんなことを考えたのかと思わされることがあります。人は年々歳々同じからずという言葉通り,違った感性を漂うもののようです。それが進化であるのか退化であるのか知るよしもありませんが,気の持ちようとして大きく広くと願っています。
 今年は未年です。ヒツジと聞いて咄嗟に何を感じられるでしょうか? 羊毛と感じたら着る物へと関心が誘われていきます。かわいいと感じれば動物としての存在感に巻き込まれます。おとなしいと感じると和やかな情景が広がります。漢字から大きなヒツジに思いが進むと羊+大=美に至り,生け贄としての大きな羊が美しいものの起源という推論が出てきます。
 言葉は連想によって多様な道筋につながり,一つの思考空間を作り上げていきます。そのごく一部がコラムになります。もちろん,連想作用のあくまでも途中経過でしかありません。コラムは最小限の意味を提示しているに過ぎません。素材なのです。続きは読者の感性に任されていきます。人は連想の行方に何らかの意味が感じられないと落ち着かなくなります。コラムを発信源として,言葉の世界を遊びたくなっていただければ幸いです。
 年頭に当たって,新たな気分で何事かを考え決意したくなります。元旦の落ち着いた雰囲気が純な心を蘇らせてくれます。でも,それがいつしか消えていきます。現実の枷が絡んでくれば,三日坊主が現れてきます。これまでの数多い年頭の気持ちがいくらかでも思い通りにできていれば,もっと違った人生があったのかもしれません。歴史にイフ(if)が無いように人生にもイフは無いのですが,そんなことを考えることも楽しいものです。
 でも,それが行き過ぎると後悔を引き出しかねません。そうなっては楽しいどころではありません。考え過ぎは気持ちに毒です。ほどほどにした方がいいですね。ある程度のところで,なるようにしかならないと運を天に任せる開き直りをした方が,気持ちは楽になります。
 お正月とは仏教による年忌法要が終わってしまって神様になった遠いご先祖様を迎える行事です。先人たちは,ご先祖様に見守られていると思って,ご加護に任せてしまうことで楽になろうとしてきました。そんな生き方もありました。理屈では意味がないことですが,気持ちを楽にすることができれば,それもまた生きる知恵になります。
 考えすぎが拙いという経験則の背景には,何事も理屈通りにしようとすることの無理を見越しているようです。ということで,この辺りで初コラムはお開きと致しましょう。

(2003年01月05日号:No.145)