《できる人 人に任せず 和が壊れ》

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 ある番組で紹介していましたが,社長が選ぶ理想の部下は野球選手に例えると,リリーフストッパーが13%,4番バッターが15%,一番バッターが28%で,最多はキャッチャーの36%だったそうです。低成長の時代は守備の要,すなわち組織の力を発揮するまとめ役が求められています。
 コーディネーターとかゼネラリストという役割を果たせる人が育っていないようです。ボランティアの集まりも差配できる人がいなくて,十分に活動できないという状況があるそうです。スペシャリストとして「できる人」は多いのですが,ゼネラリストとして「できた人」が場を得ていないきらいがあります。
 「できる人」は自分で何もかも手がけてしまおうとするので,仲間に任せることができません。社会的な組織力を引き出すコツは,大づかみで物事を見て戦略を立て,要所要所に人を配置して任せきることです。それができるゼネラリストは個人としての能力発揮が求められる場面では,働き場所が違うので目立ちません。ですから,組織を動かす場に置けば能力を発揮できる人なのに,組織のリーダーに推薦してもらえません。名選手は必ずしも名監督ではないと言われることの逆もあるのです。大石内蔵助のように,普段は平凡ですが,所を得ると抜群の力量を発揮する「できた人」がいるものです。
 学歴社会の弱点は,できる人だけが伸ばされるということです。能力別の進度が導入されはじめましたが,急ぎすぎるとどうしても人として根を張る余裕が無くなります。人間を機能面で評価すれば,こぢんまりとまとまってしまいます。社会というシステムには,大きな器が不可欠です。これからますます浸透するネットワーク社会の成否は,組織が目指すべき課題を見分け全体を動かせるゼネラリストがいるかどうかにかかっています。
 学校教育が「できる人」を育てているのなら,生涯学習では「できた人」を育てることが最も大切なテーマになります。そのためには,物事の本質を見通す学習プログラムを構築し,専門領域の壁を自由に通り抜けるだけの能力を養成する必要があります。

(2000年07月23日号:No.16)