《眠る間に 生きる力を 得る不思議》

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 地域の夏祭りに櫓組みなどのお手伝いをしました。前に書いておいたGP会という地域ボランティアパーティの活動の一つです。慣れない肉体労働で多少疲れてしまったのか,夏ばて気味で,珍しく昼寝をしようと寝ころんでみました。縁側から吹いてくる風の中に微睡んでいると,いろんな音が聞こえてきます。
 何かを訴えるように吠えているご近所の犬の鳴き声,紐が絡まっているんじゃないのかな。ぶーんというモーターの回転する音,お隣の太陽熱温水器が稼働しているみたいです。ミシッという音,日に照らされて家の木が膨張しているのでしょうか。バタバタという羽音,セミが木を移ろうと飛んでいます。
 珍しくヘリコプターが頭上を爆音高く飛んでいきます。何の目的で? エンジン音を響かせて,表の通りをトラックが通り抜けているようです。そういえば,郵便屋さんのバイクの音はまだかな。ジェット機の遠い爆音が着陸コースをゆっくりと辿っています。身近が静かだと風景ならぬ風音は豊かに聞こえてきます。そのうちに音は消えていきました。
 小一時間ほどの休眠から覚めて,けだるさを振り払うように背伸びを。時計の振り子が規則正しい時を刻んでいるのが聞こえてきました。休んでいる間も時は過ぎていきます。無為にぼんやりと過ごすと落ち着かない,無駄な時間がもったいないと思う性癖があります。何かしていないと生きているという感じがしない,何かを追いかけていると安心できる,それが休養という大事な時間を削る理由になります。
 体力の衰退は気力の足を引っ張ります。けだるさを感じるのは体力が赤信号の点滅に入っていることです。休養信号には従った方が賢明です。気力は衰えることで一時停止の状態に入ります。休もうよと言っているのです。そこを気力だけが妙にがんばってしまうと無理をすることになります。
 充電の時間がないと,長丁場は乗り切れません。仕事はエネルギーを消費します。ということは一方でエネルギーの補給を必要とします。その場所は,男性であれば会社と家庭,勤務先と赤提灯といったセットになっているはずです。女性は?
 休養とか,エネルギーの補給とか,それはついつい後ろ向きに見えて削減されますが,とても大事なことです。安らぎには気持ちの開放と同時に,体力の介抱も含まれています。疲れたらあっさりと休みましょう。普段とは違った世界に微睡む間に自然に充電ができる不思議な陰の力を,生き物は備えています。

(2003年08月10日号:No.176)