《人目には 悪を封じる ぬくもりが》

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 テレビを見ていたら,空き巣のことについて報告されていました。窃盗犯に対するアンケートを元にした分析をしていました。かなりの下見をしているそうです。うろついても怪しまれないような人通りの多いところ,駅周辺や幹線沿いの家がねらいやすい,入ってしまうと外から見えなくなる高い塀のある家がねらいやすい,インターホンや電話で留守を確認,玄関などに小さなサインを書き残すこともあり,利用しあっているようです。
 侵入しにくい家は,歩くと音がするので嫌な砂利をまいてある家,防犯カメラや防犯灯などがあり意識の高さを伺える家,ガラスに防犯フィルムを貼ってあったり補助錠などがあって5分以上の手間が掛かりそうな家などです。静かにすんなりとは入れそうもないと思わせられたら,防犯になりそうです。
 そのほか,福祉関係などの立場を偽って電話調査と称し,いつ留守にするか聞き出すようなこともしていますし,一方で決まっている短時間のゴミ出しなどの間に忍び込むケースもあるようです。忍び込んだとき必ずチェックする場所は,タンス,仏壇,冷蔵庫だそうです。冷蔵庫は意外ですが,隠す方も意外性を期待して,空き巣はその上手をいっているということでしょうか。
 人目を憚る行為ですから,人目がある,見られているかも,不意に誰かに,そんな気持ちを抑えているので,防犯する側はその弱みにつけ込めばいいでしょう。ただ最近の犯罪はかなり乱暴ですし,すぐ刃物三昧になります。目立たないようにひっそりと貧しく暮らすことが一番の対処法かもしれません。
 どこの誰とも分からない人,そんな人が都市型の生活ではすぐ側にたくさんいます。その匿名性が人の欲望を解き放ちます。旅の恥はかきすて,そんな他愛のない解き放しであれば許せますが,他人の領域に傍若無人に踏み込んでも恥じない程になれば,それは立派な犯罪です。匿名性は一方で被害を避ける安全のためですが,一方で加害にまわる危険を含みます。匿名性もほどほどにしなければ,より犯罪発生に加担することになります。
 地域の防犯とは,何よりも匿名性を極力抑え込むことです。守りのつもりで閉じこもっていくと,高い塀を廻らした家と同じで,悪意の侵入を招くようになります。仕事にかまけて家は寝る場所でしかないという暮らしが作り出した寝室化した地域は無防備なのです。見かけない人が浮き上がってしまう雰囲気のある地域は,防犯力が備わっているといえます。そんな暮らしがあふれている地域は誰も作ってくれません。自分たちでこつこつと手作りする覚悟が要りようです。

(2003年09月07日号:No.180)