《年度末 一年前を 綴じ直し》

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 年度替わりの恒例となっている仕事は,ファイルの整理です。分厚いファイルが3冊,薄いファイルが10数冊,ボックスがいくつかあります。仕事の種別や個々の事業別,様々な広報別になっていますが,中には引き継いで使用すべき書類等が在り,選別して手元に残す形にしておかなければなりません。事業に関する資料は前年度がどうだったかを勘案する連続性を求められるため,数年分を同じファイルにしているので改めて整理する必要はありません。
 ところで,審議のための会議資料や案文などの準備資料などは,決定すれば不要になります。基本的には廃棄してもいいのですが,中には残さなければならないものも出てきます。審議の過程で出てきた議論の跡が意味を持つ場合があります。今年度から方針や決まり事などを変更した場合など,その理由やどのように考えたかという道筋が途中の議論の中にあります。結論だけの資料を残しても,どうしてそうなったのかということが残せないので,後で意味が分からなくなります。議論の跡は資料にメモ書きされた程度でしょうが,議事録を残していない会議などでは,その数行が大事になります。
 いろんな連絡文書等は,最新のものを残しておきます。他に様式などが替わっているときは,変更の前後での旧いものを一部だけ残します。いつからどう変わったか,その証拠は残しておけばきっと役に立ちます。ただの用済みの書類とみなしてすべて廃棄してもいいのですが,歴史を刻むものを残すというつもりで整理をしています。
 今年はさらに特別な整理がありました。数十年勤めてきた非常勤の講師を遠距離通勤がしんどくなったということで退くことになり,講義の資料がすべて不用になりました。講義ノート自体は別の講義でも使っているので使用継続していきますが,出席書類や成績類などが廃棄処分に回されます。必要な記録は電子ファイルになっているので,ペーパー記録は残さなくていいということです。もっとも,電子ファイルはバックアップファイルをとっていることも大事です。
 年度の変わり目の整理は,几帳面だからではなくて,せざるを得ない事情に迫られているからです。事務所ではないので広い収納場所が確保できません。本棚の一部が書類場所ですが,一年分ぐらいのスペースです。資料や書類がA4版なので,家庭用の本棚では縦の寸法が大きすぎます。どうしても旧いファイルは押入の一隅に押し込んでおくことになります。整理しておかないと使いづらくなります。家内事業の悲哀です。
 その場限りの仕事をして済めば,こんな面倒な苦労をする必要もありません。しかしながら,組織のトップの役を受けている以上,数年のスパンで考えておく責任が求められます。事務局もあり頼めば処理もしてもらえますが,非常勤による組織活動では手元に資料がある方が重宝です。何より,組織運営上の必要度に応じて自分に合った情報の整理ができるので,プログラム立案をする上では不可欠の資料になります。役目柄という理由で整理しているのかもしれません。

(2004年04月11日号:No.211)