家庭の窓
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人の夢とは? 仕事の後の一杯。おじさんの楽しみが,おばさんにも感染しています。庶民のささやかな願いです。テレビから見せて頂ける「あなたの夢」は,豪邸,珍品,高級料理,有名ブランド,エステ,温泉巡りのようです。暴君が贅沢三昧の暮らしをしているのを庶民が嫉妬して社会をひっくり返してきたという人間の歴史を習いました。今では,その贅沢三昧の生活を,金をちらつかせて手に入れている庶民です。暴君の夢と庶民の夢とは,手段が違うだけで,全く同じです。
美味いものを食い荒らし,楽な行動に浸り,見事に肥満を迎え,誂えないと身の丈に合う衣装もなく,器械体操に励み,エステに通い,ブランドで誤魔化し,精一杯の虚勢を張って,高級という贅沢に酔っぱらうという,人の欲望丸出しの浅ましさに,夢や願いという看板をかけようとするのでしょうか? ダイヤモンドに目が眩み,という金色夜叉の世界は,不滅のようです。
万物の霊長と豪語した人間が手に入れている豊かさとは,王様暮らしをしたいという欲望のためであったのでしょうか? 人が蔓延っているばっかりに,たくさんの生き物が絶滅してきました。自然の成り行きではなく,人の傲慢さが招いた悲劇に見えます。その矛先は内紛に向かっています。人が人に襲いかかっています。人は凶悪になりました。遊ぶ金がほしいと襲い,テリトリーを守りたいと戦い,恐ろしい性は姿形を変えながら,強かにくすぶり続けています。
このように目立っている現象をひとつながりに整理すると,現代人の生き方のピントが外れているように見えます。所詮マスコミの報道は並はずれていて珍しいことなのです。ありふれた普通の事象は報道するに値しません。つまり,見えないのです。普通でない観測をもとにして,ものごとを判断するとそれは普通から浮いてしまいます。庶民は見えないのです。ですから,人に失望することはありません。大部分の人は健気に地味に着実に地に足をつけて生きています。虚像は一部でしかないと弁え,周りにいる心豊かな人をしっかりと見ておけば,そこに本物の夢や願いが輝いています。ささやかです。ちっぽけです。人一人が賄える夢でしかありませんが,たくさんの人の夢がうねりとなって社会を動かしている限り,破滅的な間違いは起こらないでしょう。
生きる身過ぎ世過ぎとして,人は様々な任された仕事をしています。どんな仕事をしていても,その先には確実に自分と同じ人がつながっています。ちょっとした行為でも,人の命に関わっています。車で通勤途中,すれ違う人の命が隣り合わせています。小さなミスが命を奪うことにつながります。そのことを忘れずに社会生活を営むことが,優しさです。その先には,できることをお互いに持ち寄って命を助け合うという愛につながる夢の道が拓けています。夢なんてどうせ実現はしません。だからといって,夢を持たないのは卑怯です。ゴールは遠くても,純真な夢になら誰でも向かうことはできるからです。
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