《安売りを 求め迷うも また楽し》

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 大型ショッピングセンターからお得意様ご招待の案内状が届きました。たまたま都合がついて,開店時間に合わせて連れ合いと出かけました。入口には行列ができています。お目当てのお米10kgの特売品売り場を探していたのですが,店内は右往左往する人でごった返しており,その雰囲気にすっかり舞い上がってしまい,連れ合いとはぐれてしまいました。
 陳列棚の隙間に長い行列ができており,連れ合いが最後尾に付いているものと思って,受け渡し場所の方で待っていました。ところが,お互いに相手が並んでいると思い込んで,ウロウロしていたのです。結局売り切れという切ないことになってしまいました。夕方にもう一度お米が売り出されるということで,再度出直して,そのときは連れ合いと二人とも並び,午前中の分の買い直しを果たしました。
 近所にあるスーパーマーケットは木曜日が特売日です。昼間も夕方もいっぱいの買い物客で混雑します。安売りの魅力はかなり強いようですが,節約という生活力を備えていらっしゃる方でないと響かないのかもしれません。ただし勤めのために時間的な自由度がない方は,かなりハンディを背負うことになりそうです。店内には奥様やお年寄り世代が多いのもうなずけます。
 生活のパターンが変わると,暮らしの場所が変わります。そこで出会う方も替わってきます。世間が違ってきます。生き方といえば大げさですが,こんな暮らしもあるという気付きがあります。旅の楽しさも同じでしょう。所変われば品変わり,人の暮らしも変わっています。女性の場合には,実家と婚家という所の変化もあります。暮らしの変化は,当初は不慣れな場面の連続で辛いこともありますが,楽しむつもりになれば,そのうちにいいことも出てくるようになります。
 慣れない場に自分を置けば,必然的に挑戦し続ける羽目に追い込まれます。挑戦,それが若さを招き寄せます。慣れた暮らしに安住するのは楽ですが,それでは新鮮な気持ちを呼び込むことができません。ちょっとした冒険,何でもやってみようという好奇心,その一歩を踏み出すことができれば,一日が充実します。今日は何をしたのか分からないという日々を送れば,滅入っていくばかりです。何か一つでも,新しい経験を積み重ねていきたいものです。
 そうはいっても,現実はそれほど気楽ではありません。生きていると,思いがけない出来事に出くわします。たいていは招かざることです。気持ちが滅入るばかりではなく,実害のあることもあります。何もない平凡な暮らしが何よりだと思うものです。壊されるのは嫌ですが,自分でいじくってみることはしてみたいと思うのは,人の欲なのでしょう。

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(2004年06月20日号:No.221)