《おふくろの 味が残せる 家であり》

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 おふくろの味が伝わっていますか? 料理は連れあい任せですから,連れ合いのおふくろの味が我が家の味の基本でしょう。昔はほとんどが手づくりですから,工夫がたくさん込められていました。例えば,カレーはカレー粉から始まりましたが,今では野菜類を加えるだけです。我が家ではお醤油を隠し味に添加しています。母の工夫でしたが,連れ合いの方でもそうしていたのか分かりません。
 茶碗蒸しは子どもに人気のメニューですが,特別な仕掛けがあります。食べていくと最後にうどんが出てきます。うどんの入った茶碗蒸しで育ったせいで,よそで頂く茶碗蒸しがいつも物足りないと思ってしまいます。最後にタマゴしか残らないのでなんとなく肩すかしをくったような感じです。おふくろがどこかで仕入れた工夫か,思いつきなのか知るよしもありませんが,連れ合いに伝授されておふくろの味として今も続いています。
 家族は毎日の食生活のつながりをベースにしています。連れ合いがおふくろの味を取り入れてくれると,世代を越えた家族の温もりが残っていきます。男は母親似の女性を娶ると言われていますが,その一つが味の伝承でしょう。嫁として暮らす間に味の受け取りをしていたはずですが,嫁と姑の確執が大事な伝承を台無しにしていきました。新しい家族は両家の味を融合することで,豊かな味を作り上げていきます。
 豊かな暮らしは人から工夫のできる隙間を奪います。豊かさの中味はお仕着せです。一流の腕が作り出したものが届けられるのですから,誰しも幸せになれます。でもそれは与えられるものであり,つかみ取ったものではありません。手を使って工夫して作り出したものでなければ,本当の幸せとは感じないはずです。やった,できた,その気持ちがスパイスになって幸せは生まれます。手づくりという面倒なプロセスを抜きにして,いいものは手に入りません。
 お仕着せを受け容れようとすれば,無理に合わせなければなりません。素敵な服を着るためには,自分の身体を無理にスリムにしなければならないのです。自分の身体にあった素敵な服を自分の手で作る方が心穏やかになると思うのですが。いずれにしても,自分で一つの工夫もしないで暮らしていては,誰の人生やら分かりません。衣食住という生き様の芯を人のお仕着せに任せていて,どこに自分があるのでしょう。みんなの豊かさは誰の豊かさとも違うものという洞察が大事です。

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(2004年07月18日号:No.225)