《決定権 握るあなたは 偉い人》

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 世にかかあ天下という言葉があります。ご多分に漏れず尻に敷かれていますが,立てて貰っていることもあります。暮らしには何くれと決め事が溢れています。今夜のおかずは何にするか,かかあ殿が決めています。連れだって買い物をしているときに,たまに希望を言ってみるのですが,あっさりと却下です。連れ合いはお魚派で,こちらはお肉派,健康のためという理由で抑え込まれています。もっとも,そう思うのは身勝手で,実際には半々といった割合ですから,敵もそれなりに自己規制してくれているようです。
 人はそれぞれにあれやこれやを決めていきますが,共同する場面では,対立する局面が起こります。運転しているときに,右折と直進は衝突するのが必至です。そんなときには,優先順位という交通ルールが適用されることになります。直進が優先という約束です。家庭のかかあ天下では,かかあ殿の決定が優先するということになります。組織では,上役の決定が優先されます。だからといって,優先権を持つものがいわゆる職権を乱用することは,あまりほめられたことではありません。せめて,下打ち合わせや根回しといった了解のための手続を踏むことが求められます。人が最もカチンと来る決め方は,いきなり頭ごなしに言い渡されることなのです。
 家庭や組織のような閉じた世界では,優先順位は比較的にきっちりと決まっていて,皆が了解をしています。ところが,開いた世界では,決め事の対立を収めるルールが曖昧になり,大は法律,小はマナーなどの出番となります。人が集まって何事かをしようとする場合,そこには決まりや常識的な優先順位を明らかにしておく必要があります。また,契約書を交わすということも,その一環です。
 争い事は,この優先順位が無い場合や,お互いが違った優先判断基準を持ち出すときに起こります。自分の方が正しいと主張し合うから,正面衝突します。夫が仕事で毎晩遅くなったり,休日出勤をするとき,妻が仕事とワタシとどちらが大事だと詰め寄るのも,優先順位を争う衝突です。仕事の割り振りでも,どちらがやるべき仕事かを決めるときに,お互いの立場や事情のどちらの優先順位が高いかを相手に認めさせようとすると争いになっていきます。
 暮らしを切り盛りすることは,かかあ殿の決定に従うという了解があります。しかし,家庭の暮らしを動かすといった大きな決め事はオレが責任を持つという了解もあります。その場合も,いきなりではなくて,なるべく相談という機会を持つようにしたほうが穏やかです。夫婦の間で隠し事をしないというマナーは,決め事にきちんと関わるということなのです。連れ合いという意味は,決め事に優先権を持ち合いながらも,連れだって決めることです。今日は連れ合いの誕生日です。

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(2004年11月07日号:No.241)