《この年は 螺旋を登る ごとく過ぎ》

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 2004年の最後のコラムになりました。このページの html ファイルを開いて入力体制に入ってから,さあ何について書こうかと思案しつつ,原稿の執筆をしてきました。そのいい加減な態度のために,何の統一もない雑多な内容になっています。一週間に一編のコラムなので,最近気になった話題,連れ合いとのやりとりの中でふっと思いついたことなどをネタにして,書きながら考えていくことになります。ホームページタイトルに因んで,徒然なるままに書き綴っています。
 年末の恒例といえば,一年を振り返っての話題羅列です。世間のことはいざ知らず,いたって平凡な一年であり,取り立てるものは思いつきません。だからといって,のんびりとした日々ではありませんでした。それなりに忙しく気疲れのする日々を,楽しませていただきました。多くの方との関わりがあったからです。馴染みの無かった世界に踏み込むというのは,ワクワクするものです。情報を掴みながら整理していく過程は,パズルを解くような楽しみがあります。
 知らないことを尋ねて教わるのは,一向に苦になりません。人が何を願い,どういう知恵を実現しているのか,その現状を分からせてもらえるからです。人の世のあれこれは,必ずしも完璧なものではありません。進歩という動きの上にあるために,現状は常に後手後手に回るからです。それでも人は飽きることなく現状をよりよくしようという思いを持ち続けるので,考える意欲が失せることはありません。そんな前向きな最前線に身を置く機会を持てるのは,幸せなことです。
 社会システムは時代に合わせて作り上げられますが,その成果は時代を変化させていきます。人びとの活動が活発であれば,それはその活動を時代遅れにするという矛盾を生み出します。例えば,福祉が充実すれば長寿社会に変化し,そのよい結果が福祉のシステムに対して重荷になってきます。前のシステムが時代遅れになっていきます。常にシステムは再構築されていかなければなりません。見ようによっては,現在の社会は自転車操業のようなものです。
 実務に携わっている人はたいへんです。いつまでも同じやり方では通用しないからです。ベテランという敬称はもはや通用しなくなっています。常に新しい要素を組み込んでいけるような,余裕のある姿勢こそが求められます。その能力はかなりのものなので,継続した学び,つまり生涯学習が不可欠になります。目の前にある仕事や業務を忠実にこなしているだけでは,数年で置いてけぼりを喰い,人材の交代が押し寄せてくる厳しい社会になっています。
 時代が何を求めているのか,それに対して何が可能か,どうすればいいのか,情報を集め考え続けることが,今の時代の仕事人には必要な資質です。そういう方々とこの一年一緒に歩むことができたことが,一つのうれしい感想です。

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(2004年12月26日号:No.248)