《忙しさ 追われる前に 追いかけて》

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 顔見知りの方に出会ったとき,「お忙しいでしょう?」と問いかけられることがあります。公的な場で姿を見られているのでしょう。「ええ,まあ」という形で期待されているご返事をしています。実際死ぬほど忙しいというわけではありませんが,もう少しゆったりしたいなと感じているので,忙しいと思っているのは間違いありません。一つの役割ならいいのですが,関連するものが付随して絡んでくるので,空いた日がなくなっています。拘束される時間だけで済めばまだしも,準備と後始末の責任作業を担うとなると,結構な仕事量になります。そこまでは求められていないということもありますが,中途半端な職務にはしたくないので,ついつい深入りしてしまう性分が時間を奪う原因でもあります。よそ目には,好きで忙しがっていると見えるかもしれません。何しろ本人がそう思っているのですから。
 現在の状況は,日程の調整と情報の管理が要になります。先ず日程については,自分だけでなく,連れ合いの日程も絡んできますので,やりくりに苦労します。具体的には,一台の車が二人のスケジュールをこなしているので,ドライバーも大変です。交通僻地に住んでいるので,公共の交通機関が全く利用できない境遇にあります。隣接する福岡市につながる交通網が,町内の中心と別ルートになっているために,横断的な移動が全く不可能なのです。車を使うしかなく,夫婦二人の動きに沿って右往左往する始末です。よそ様では夫婦がそれぞれに車を利用しておられますが,車一台一人のドライバーの零細家庭ではやむを得ません。
 二人とも常勤ではないのですが,微妙にすれ違いのスケジュールになり,結局我が家ではどちらかが仕事日となります。たまに空いた日があれば,買い物ということになり,家でゆっくりする日がないという状態です。「忙しい」と言えば,その通りということです。もっとも世間一般にいう忙しさとはニュアンスが違っています。暇を持て余すという贅沢からはかけ離れていますが,それも何かのご縁だろうと諦めています。
 もう一方の情報の管理ですが,いろんな方面から情報が入ってきます。出口に向けた整理を怠ると,すぐに山積みになります。情報は流れてこそ価値があります。次に受け渡す準備をしておく必要があります。流すべき時期と所にきちんと届くようにしなければなりません。いつまでに何を誰に,その手配が情報管理の内容です。握りつぶすようなことになると,思いもしないトラブルが生じます。毎日が流れるようにつながっていく,その導きとなるのが情報であり,次を見ていく姿勢が明日を生きる幸せをもたらしてくれます。

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(2005年06月05日号:No.271)