《言の葉は 心の色を 帯びていて》

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 9月に放送された世界一受けたい授業というテレビ番組の中で,「音象」という言葉が出てきました。手近にある小さな辞書には音象という言葉は載っていませんが,音から受けるイメージのことのようです。好みという面では,女性向けには「n=ン」という音が,子ども向けには「パ行」の音が,怪獣の名前には「ガ行」の音が使われているそうです。そう言われれば,そうかなと思われます。
 ア行の音は親しさの関係づくりに効果があるそうです。例として,受け答えをするとき,ただ「そうね」というより「ああ,そうね」と言えば,親しさが感じ取れるということです。話していて気持ちのいい人というのは,そのようなコツを意識せずに使っているのでしょう。もっとも,気のない「ああ」という返事だったら,逆効果でしょう。同じことでも言い方によって違うということがあるので,用心しないといけません。
 赤ちゃんが最初に口にする音はマ行やパ行でしょう。例えば,ママやマンマ,パパやバアバが多いようです。他の行は口を開いたまま発音できますが,マ行やパ行は一度口を閉じてから開くときに音を出します。口の形を微妙に調整しなくても音になります。赤ちゃんでも簡単に発音できます。子どもにとっては,音を発する初体験がマ行やパ行ということになります。幼児がパ行を好きなのは,原体験から来ていると考えることができます。
 女性の声は甲高く遠くまで聞こえます。男性の声は低くごく近い周りに響きます。甲高いのは悲鳴というイメージがあり,一方で低いのはうなり声というイメージがあります。確かな証拠があるわけではありませんが,男性は攻撃的であったという名残なのではないかと思われます。低い声をドスの利いた声という言い方があるのは,間接的な証拠になります。男性が声変わりをするのは,男としての攻撃性を備えた一人前になるための性徴と考えることができます。
 言葉がコミュニケーションであると思っていると,少し認識が不十分になります。意味だけが伝わるのではないということです。音象という視点から見えて来たことがらも含めて,語感や響きのような多様な情報が付随して交わされています。もちろん,表情なども大事であることは既知のことです。若い人がメール環境に重点を置いていると,文字という限られた情報に頼ることになるので,コミュニケーションが曖昧になるはずです。対面の肉声による会話が主流であって欲しいと思います。

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(2005年11月13日号:No.294)