《楽しみは 瑣事に打ち込む 仕事ぶり》

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 お正月休みもあっという間に過ぎ,平常の暮らしに戻りました。目の前にあるのは年度末に向けての種々の懸案です。けりを付けるべき物事の処理日程はすべて3月から逆算しなければなりません。あれをしてこれをしてという段取りが必要なケースでは,すぐに処理しておかなければならないことがボロボロと出てきます。一方で,年度末に向けての諸行事は1月から2月にかけて集中してきます。作業をする隙間が無くなっています。
 連れ合いが夕食の準備をしてくれて,当方は食べる人になっています。連れ合いの口から,時間を掛けて作った食事もあっという間に平らげられると,何か割り切れないといった感想がたまに漏れてきます。別に咎めているというのではなく,張り合いの無さというニュアンスです。手間暇を掛けた苦労をもっと味わってほしいという気持ちは分かります。仕事や作業の裏にはそれなりの手間が掛かっているのですが,できあがりの処理はあっという間に終わるものです。
 裏方の苦労というのがあります。表方はできあがりの良さを見極める力を持たなければなりません。陰にある目立つことのない苦労を認める表現力です。簡単には,できあがりを褒めればいいでしょう。食事の場合には,「美味しい」という一言で十分です。仕事の場合には「いい仕事ですね」となるでしょう。裏方に徹している方は認められなくても自分の自負でやっているので,普段は気にしていないでしょう。でも,たまに認めてもらえることもうれしいもののはずです。
 細々とした素材,材料,部品を探し集めて整理し何らかの機能を持った形に構成する作業は,地道な作業と呼ばれます。一般にはもの作りに当てはまりますが,すべての作業に共通することです。その過程では,素材を生かす,材料を無駄にしない,部品を適切に順序よく配置する,といった作業の鉄則があります。そういった現場の苦労は,結果としてのものの良さに現れてきます。同時に,物事を見極めるポイントにもなります。料理も,製品作りも,資料づくりも,扱う対象が違うだけで,基本的な流れは同じです。そのことを昔の人は,一芸に秀でることはすべてに秀でると語ってきました。
 どんなにつまらないと思われている仕事でも,それをキチッとやりこなすことができなければ,大事な仕事を任せてもらっても結果は一目瞭然です。仕事ぶりは仕事の種類を選びません。一事が万事という言い方もあります。いい加減な作業をする人には,いい仕事は任せられません。あの人に任せておけば安心,そういう信頼は小さな仕事であってもコツコツとキチッとやり遂げていく態度に付随してくるものです。仕事を選ばずに,仕事ぶりを大事にすることです。

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(2006年01月15日号:No.303)