《楽しみは 日々の変化を 見極めて》

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 出生率が1.29。この数字の意味は,子世代が親世代の6割となって継がれるということです。二人の親から1.29人しか生まれてきません。孫世代は3割になります。このように考えると,今の状況が続いたら劇的な人口減になるということが感じ取られます。人数が減りますから,家もゆったり,道路もゆったり,お店もゆったりとなりそうですが,一方で空き家,空き店舗が増えてみすぼらしくなるのかもしれません。
 地球規模で考えると人口は増えているので,地勢が変化するはずです。日本人が少なくなるだけで,この日本には日本人以外の人が流入してくることも想定されます。そうなるといわゆる国際結婚が増えて,少子化ではなくなるかもしれません。人口が減ると社会の活力が衰え豊かな生活を維持できなくなります。貧しさに対しては,働き手を増やすというのが人の選択ですから,子だくさんになる動きも現れてきます。結局どうなるのか,見えなくなってしまいます。
 物事を一面だけで見ていると,確からしい結果が見えてきます。しかし,社会の動きは多様な因子が働いて決まってくるので,その複雑さの故に確かな結果を導くことはできないのです。「今のままであれば」という但し書きが,実のところ不確実なのです。自転車の走行が右にぶれていくと,今のままであれば道を逸れて転落するはずであるという結果が見えてきます。その時,実際にはハンドルは左に切り替えされて,軌道が修正されます。「今のまま」は続かないということです。
 科学技術の世界では,物事を一面から見えるように限定しています。例えば,素材も純粋なものを使います。混じりっけのあるものは性質を明確に把握できないからです。科学的な扱いでは,物事を簡単にする準備をした上で理論が適用されるので,結果を計算することができます。その手法をどこにでも持ち込もうとすると,不適切な扱いになってしまいます。暮らしの場を彩る人間関係など,思惑通りにはいきません。こうすればこうなるとは限らないことばかりです。そこで,技術の世界では極力人の関与を外して自動化する方向に進もうとします。つまり,人は純粋ではない,読めないというわけです。
 人が関わる物事を見たり考えたりするときは,人は今のままではなく変幻自在な存在であるということを前提にするしかありません。下した結論は,かもしれない,そうだろう,という程度の確かさしかないということです。あの人はこうだ,こう思っているはずだ,そのような思いこみを前提にしたら,判断を誤ります。あのときのあの人は,このときのあの人とは違っているのです。自分が昨日の自分と今日の自分は違っているのですから。今の自分でしかあり得ない,そう考えると,今日をしっかり生きていくしかありません。明日はどんな自分になるか,楽しみです。

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(2006年03月26日号:No.313)