《考える 楽しみ知れば よい学び》

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 大阪府の教育委員である女優の三林京子さんの講演を聴く機会がありました。彼女の友人で大きな美容院経営をしている方の話として,「ものになるかどうかは見ていてすぐに分かる」とのことでした。昼食の取り方を見るそうです。ラーメンでもいいのですが,自分でちょっと野菜を入れたりして手を加える娘さんは将来必ず店が持てるようになり,コンビニ弁当などを飽きずに食べている娘さんはものにならないそうです。
 食べるというごく日常的な行動にも,どうしたら美味しくなるか,栄養はといった関心を持ち,やってみるということを面倒がらないのがいいのでしょう。あれこれ考えることが人を育てていきますから,実力が備わっていきます。食事と美容技術とは全く関係はありませんが,考える癖を持っていることが伸びるための出発点になります。
 「こうしたらどうなるだろう?」と結果をイメージしながらやってみて,思った通りになったとか,違ったとかを確認していきます。物事のプロセスを一つ一つ見極めていくことによって,いろんなことが見えるようになります。同時にバラエティが豊かになり,創造性への暗証番号も手に入れることができます。また,たとえしくじったとしても別のやり方があるはずと思うことができるので,めげることがなく,常に前向きになれます。
 最近,若者や子どもたちの体験不足ということが言われています。どんな体験なのでしょう。特別な体験ではなくて,ごく日常の生活体験です。そこで何が育つのでしょう。考える癖です。何事でもやり遂げるためには,過不足無く準備をし順序よく事を運ばなければなりません。そのために自分なりの設計図をイメージして事に当たる姿勢が必要です。それは教えられてできるものではなく,体験から学び取るものです。
 子どもにとって家事の手伝いは無駄な時間と思っていると,大切な学びを奪うことになります。任された仕事の中で何をどのように考えたか,それがいわゆる勉強する行為の基本になります。子どもに考える癖をつけるためには,暮らしの中にいくらでも転がっている考える材料を提供すればいいのです。お風呂の掃除ではどうすればきれいに掃除できるか,頼まれたお使いを忘れないためにはどうしたらいいのか,鉢植えの草花はどれくらいの水をよろこぶか・・・,考えようとすればいくらでも考えられます。

(2000年12月10日号:No.36)