《楽しみは 世間の動き 覗くとき》

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 内閣府が3月31日に発表した「社会意識に関する世論調査」で,日本が悪い方向に向かっている分野として「教育」が複数回答で36.1%に上り初めてトップに挙げられています。昨年度はイジメや自殺などの報道が続いたことから,子ども社会への危惧が注目されたようです。また,「医療・福祉」が31.9%で過去最高になっています。暮らしの基盤が疎かになっているようです。
 日本の行く末という大きなものを想定するとき,人は第三者の位置に立たされます。有り体に言えば,自分には関わりのないことという気持ちがあり,他を批判するだけになりがちです。教育,医療・福祉と聞けば,それは人が受け取るサービスというイメージで考えます。例えば,子どものイジメに対して家庭や地域の大人として自分がどう向き合うかという発想は出てきません。実は,そのような身近なことを人任せにしている態度が問題なのです。
 さらにサービスという点についても立ち止まって考えておかねばなりません。サービスは本体ではなく援助であり手助けに過ぎません。教育は意欲を持って学んでいる児童・生徒に対して,適切な支援を行うことです。教室で机に座っているだけで賢くなるはずはないのです。さらに,暮らしの場で周りにいる大人からたくさんの知恵を学ばなければなりません。教育できる知識は限られているからです。特に,注目されているイジメのような行動については,教育の場だけでは解決できません。大きく言えば人間関係ですから,家庭や地域が主たる学びの場になります。
 総じて人との触れ合いが希薄になっています。家庭や地域と呼ばれている身近な場が,その機能を発揮できなくなってきました。触れ合いに支えられていた共に生きるという機能が失われ,教育や福祉というサービスに押し込まれていきました。結果として,教育や福祉が抱える負荷は想定外のものとなり,機能不全を起こしているのです。つまり,身近な触れ合いを疎かにしてきた付けが,教育や福祉を脅かし,日本を悪い方向に向かわせているという構図が見えてきます。皆で渡れば怖くないという意識的な行動パターンではなく,皆の無意識の行動パターンが巡り巡って,皆に降りかかっているのです。自業自得という巡り合わせが日本という大きな輪の中でも起こっているようです。
 情報を自らに引き寄せて理解しようとすると,大きな渦の中にいる自分が見えてきます。ちょっとした応用問題に取り組むのも楽しいものです。

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(2007年04月29日号:No.370)