家庭の窓
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連れ合いが「千の風になって」という歌を大層気に入っています。普段は全く無縁であった音楽ショップに自分から足を運び,テープを探していました。CD,DVD盤の時代にテープはどうかなと案じながら,後をついて行きました。演歌についてはCD盤とテープがセットで並んでいましたが,お目当ての「千の風になって」はCD盤しかありません。実は連れ合いにはテープのカセットしかありません。ボランティア活動で音訳録音をしている関係で,テープカセットが必要だったからです。
仕方がないので,CDからパソコン,パソコンからテープへとコピーをして渡してやりました。暇さえあれば聞いているようです。上手ではないという自覚を持つ連れ合いは,普段は歌の世界からかなり意識的に離れています。宴会などで無理に誘われても,誰かと一緒の場合について歌うのが精一杯です。そんな連れ合いがテープを聴き声を抑えながらも歌っているのを耳にすると,がんばれと応援したくなります。
歌うのが上手であるかどうかは別にして,歌を身近に持つことは気持ちの安定にはとても有効のように思われます。人が活動するときには,リズムが背後にあります。気持ちの動きはメロディに乗せることができます。歌とは本来人の気持ちの表現であったはずです。歌うことによって,喜びや哀しみをはき出して,気持ちの浄化を図ることができます。小難しいことはともかく,歌を暮らしの中でいつも側に持っていると,穏やかな気持ちが手に入ります。
最近の歌を聴くことがなく,覚えることもないので,知っている歌は古いものばかりになっています。テレビの歌番組も少なくなって,特番を時々ちらっと見るだけですが,知らない歌ばかりで耳がついて行きません。CFのバックに流れる音楽が耳になじみますが,フルコーラスではないので,歌として身につきません。身体を動かしながら口ずさむのは,懐かしい歌ばかりになりました。
連れ合いが新しい歌に興味を持ったということは,とても意外なことでした。そんなエネルギーを持っていたことに感心させられます。音楽は嫌いな方ではないので,つられて聞いていますが,今ひとつスカッと音程が頭に入りません。テープを聴いているときは何となく流れに乗っているようですが,いざ無伴奏で歌おうとすると音が外れてしまいます。出だしがスッといかないと,歌えないものです。音感が鈍ってきたのかなと気がかりです。連れ合いの元気にあやかって,久しぶりに新曲をレパートリーに加えることができればと,密かに楽しみにしています。
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