《よろこびは 妻の謎かけ 受けて立つ》

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 部屋の隅に置いてあるゴミ箱に向かって,紙の固まりをポーンと放り投げます。行儀の悪い所業ですが,モノをコントロールよく放り投げる能力を確かめたいという意図を感じています。まだ衰えていないと思いたいのです。
 松の内のある日のことです。「どうして袋を避けて入れるのかな」と,連れ合いがこぼしています。「何のこと?」としばらく考えました。やがて思い当たりました。ゴミ箱に向かっていつものようにゴミを放り込んだことを思い出しました。確かにゴミ箱にレジ袋が入っていました。投げ込んだゴミが袋にぶつかってちょこんと乗っかったように見えたとき,その白い袋も捨ててあるものと思ったので,何の懸念も抱きませんでした。それがいけなかったようです。
 少しばかり言い訳をしておきます。ゴミ箱にレジ袋を入れてその袋の中にゴミを集めるというやり方をすることがあることは知っています。ゴミ箱が汚れないためと回収のしやすさのためです。また,袋を使うときには,ゴミ箱の口の部分で袋の上部を折り返して,開口部がゴミ箱の口と重なるように広げて設置します。ところで,普段そのゴミ箱には汚れるゴミを入れることはないので,袋は使っていませんでした。また,開口部の折り返しもなく無造作につっこんであるだけでした。そのため,回収用のレジ袋とは見えなかったのです。
 連れ合いがどういうつもりで突然にレジ袋を使おうとしたのか知るよしもないので,行き違いが起こってしまったようです。その場は知らない振りをして聞き流しておきました。それにしても連れ合いの言い方は何とも中途半端です。直接言えばいいのに,これ見よがしに謎かけをしているように聞こえます。実のところ,この手の言い回しは連れ合いの意地の悪さではなく,女性の特徴のようです。それを察しないのが男の特徴になり,男女のコミュニケーションのすれ違いが起こることになります。
 女性は気配りを優先するので,直接注意を促すことを避けます。一方で,男性は物事の完成・成就を優先するので,直接注意をすることが大事であると思っています。女性は人間関係,男性は社会関係を大切にしているということです。女性の物言いが婉曲的であること,男性の物言いが直截的であることを男女それぞれが知っていないと,男女関係には小さな亀裂が入っていくでしょう。
 ほとぼりが冷めた頃を見計らって,袋をきちんと広げておきました。連れ合いに言われて行動をしたというのでは,上手な対処ではありません。妻がそれとなくほのめかして,それを夫が察してくれるという間合いが,夫婦関係の維持には効果的です。一見ご機嫌取りのようですが,円満であるためには出来ることをするように心がけるしかありません。要はお互い様なのですから。気配りをよろこびに感じるようになれば,愛情表現もうまく運ぶようです。小さなお惚気話です。

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(2008年01月20日号:No.408)