《よろこびは 無為な時間を 遊びとし》

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 街中の公園,お昼休みの時間です。年に数回,役目のために近くの建物に訪れるとき,昼休みの時間を過ごす場所です。年配の男女がゲートボールの練習をしています。植え込みの段差を囲む縁石に腰を下ろして談笑する人たちがいます。灰皿の周りには,若い男性がたむろしておしゃべりを楽しんでいます。通り抜ける人の足下には鳩が歩いています。鳩は歩くときどうして首を前後に振るのでしょう。首が痛くならないのか気になります。雀は両足でピョンピョン連続飛びをしながら駆けていきます。
 3歳ぐらいの女児が滑り台で遊んでいます。そばに立っている若い母親は携帯電話をのぞき込んで操作しています。その姿を眺めながら,今時の母親は,と大人は思うべきなのかな思い巡らしていると,滑り台の頂上の高台から女児が母親を見下ろして何か話しかけています。やがて,母子は滑り台の前の砂場を円形に区切っているコンクリートの上を並んで歩いて遊び始めました。それでいいのだ,と見ず知らずのおじさんは一安心です。
 地面に目を向けると,あちこちに白い斑点が散らばっています。見上げると,大樹の下です。カラスが上空を飛び回っているので,糞害だと気付いて,少しばかり頭上を気にすることになりました。楽しいことばかりがあるわけではありません。生きているということのすべてを受け入れる悟りの境地に至れば,それもまた苦にならないのかもしれません。生きることのドロドロした感覚を喪失すると,余計な忌避感覚が発揮されてくるようです。
 背伸びをするつもりでまっすぐ上を見ると,白い雲が所々切れ間にかすかな青みをのぞかせています。雲全体が揺らいでいるような感覚になりながら,切れ目の一点を凝視すると,かすかに左に向かって動いています。公園の位置を頭の中の地図で見定めて向きを推し量ると,雲は西から東に動いています。テレビ画面の雲の動きに重なります。西の空に目を転じると,いくらか雲が厚ぼったくなっています。小雨がぱらつくかもしれないと観測しながら,出がけに見た天気予報を思い出しました。
 ゲートボールコートのそばに置かれている雨ざらしの一脚の長いすに腰を下ろして,風景を見渡しています。周りは9階建てのビルが建ち並んでいます。四角な公園を道がぐるりと囲んでいます。1片は客待ちか休憩のタクシーが並んでいます。2片は大通りに面しています。静かとはいえませんが,午後の休憩の人が三々五々に憩う場所になっています。無人の管理事務所の建物の周りは,季節の花がプランターに咲き誇っています。
 何の行動もせずにただぼんやりと時間を過ごす,目に入る諸々のことに素直に反応する,無念無想とまではいきませんが,風景に身を任せているのも一興です。だからどうなの,という余計な価値判断から解き放たれることもたまにはいいものです。というわけで,今回は何の話か分からないで終わります。

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(2008年06月15日号:No.429)