《よろこびは 言葉を探す 講演会》

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 あるご縁に誘われて講演を聞きに出かけました。講師は若い起業家の方で,自分の人生における出会いについて熱く語られました。出席者は若い方が多く,大ホールの会場はいっぱいでした。人のご縁から学んだことをどのように生かしてきたかという展開のお話でした。
 講演を聴くとき,それが面白い出会いになるかどうか,それを決めるのは聞き手の姿勢にもよります。語られる言葉に反応できるものを持ち合わせていなければ,言葉は右から左に流れていくだけになります。何を語っているのかを理解する,それは符丁合わせに似ています。
 仕事をするとき,何のためにするのかを自覚することが大切であるという話がされました。お金を儲けるためという理由が普通であるが,何のためにお金を儲けるのかを考えなさいということでした。入り口だけを考えるのではなく,出口をはっきりとしなければ,がんばりの元気は引き出せないという経験談でした。この入り口から出口までの全体を見渡すきっかけになったのが,尺度の大きな人との出会いであったということのようでした。講演の中ではこのように流れが整理されて話されてはいませんでしたが,つないでいくとこうなります。
 常々目標と目的の違いを区別することの大切さを意識しているので,入り口と出口の話が重なって聞き取ることができました。お金を儲けるという目標は,さらに次の目標の前提となり,最終的には目的を達成するところまでつながっていきます。講演において出口といわれていることは,目的と言い換えることができます。このような対照を経て,講演の言葉は聞き手の中に入り込んでいきます。
 個々の具体的な話をそのままの形で受け取るのではなく,自分の言葉を重ねてみると理解が進みますし,耳に残ります。流れていく言葉をつかまえるためには,つかまえる手となる言葉と絡み合わせる操作が必要です。具体的な事象は話し手のものであり,聞き手にとっては全く無縁のものです。生の情報はそのままでは消化できません。事象の持つパターンを看取り,自分の事象に当てはめることができるようにアレンジしておけば,使える知恵になります。簡単に言えば,似たようなことを聞いたことがある,それが生きていく上での財産になります。
 自分流で聞くということにもなりますが,気をつけることは,そんなことは分かっていると思うことです。分かっていることと実際に行動に移すことの間には段差があります。経験談を聞いているときには,実際例としてのニュアンスを大事に聞き取るようにします。知恵の使用例を知っていると,まねをすることが容易になります。人との出会いによって,まねをするようなことが見つかると,その人は人生の師匠になる,それが講演のメインテーマでした。

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(2008年08月03日号:No.436)