《よろこびは よきこと目指し あくせくと》

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 気候が何となく肌に合わなくなっています。慣れ親しんできた肌感覚と実際の気候との間にミスマッチがあります。見渡せば,国内でもあちこちに,「経験したことがない」と語られる変動が起こっているようです。こんな時,人は何故だろうと考えたくなるのか,「温暖化のせいでしょうか」という会話が交わされています。身近な感覚から大きな変動を直感する本能は,生きている上で大事な能力です。ただ感じているだけではなく,何らかの対応が必要でしょう。
 大きなアクシデントが発現したとき,そういえば何となく予兆を感じていたということがあります。大方が後の祭りです。実はこういうことがあったという説明がされても,それは後知恵です。本当は前知恵の方がありがたいのですが,たとえそれが提示されても,単なる予測であり先行きが不透明という頑迷なヴェールが邪魔をして,常識にまでは浸透しません。変化を忌避する保守的な質も人に備わっています。後悔する歴史が繰り返されます。
 エコの流れが徐々に進んでいるとき,降ってわいた原油や穀物の高騰です。庶民は投機筋という一部の経済的エゴに翻弄されて苦汁をなめさせられています。有り余る富というのはバブルの悪臭を漂わせることも,幾度となく繰り返してきたことですが,懲りない面々は学習能力が劣っているようです。
 社会システムが適切な制御をすべきであるという問題は誰の目にも明らかですが,人が開発できた制御の基本はトライアンドエラー,つまり試行錯誤であるという現状では,マイナスへのブレは必然となります。人は苦労に直面してやっと対応を考えてプラスへの動きを始める習いになっています。歴史は繰り返すといわれますが,繰り返しながらも,実は螺旋状に登っていると考えるべきです。人生苦あれば楽あり,その繰り返しによって少しずつ人は賢くなってきたのです。
 人が行う未来予測,それは現在までの諸般の状況がそのまま継続すればという前提付きです。つまり,変わったことが起こらないという前提があります。しかし,最も重要な因子である人は変わるのです。人は適応性があるので,時代の変化に順応していきます。その結果として,人の社会は昨日とは違ってきます。さらには,環境因子も動いています。細菌の突然変異などが起こりえます。温暖化による気候変動も,人を変えていきます。あらゆる連関と変動規模を見通すことは不可能なので,結局のところ,明日のことは分からないということになります。
 だからといって,思うまま気ままに過ごしていいということにはなりません。善かれと思うことをすることが,人としてなすべきことです。自然の動きは無秩序に向かって動くという原則があります。人が勝手気ままに欲望の赴くまま生きていけば,社会というシステムも無秩序状態になり,生きていくことができなくなります。よきことに向かうという意志が秩序を生み出し,社会を維持する根本です。秩序は他者と生きる意志が働かなければ成立しません。

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(2008年08月31日号:No.440)