《よろこびは 我が息づかい 文に載せ》

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 コピーアンドペースト。パソコンを扱う上で,とても大事で便利な機能です。便利なものは,使い方に抑制と節度が求められます。食品等の偽装問題やソフトの著作権侵害など,同じ線上にあります。新聞の記事についても,いくつかの盗用の事例がありました。その手段がコピーアンドペーストになります。パソコン上ではいとも簡単にできてしまうので,実際には歯止めをかけるのは不可能です。
 天下りの報道の際にも,高額の費用をかけた何らかの報告書がコピーの寄せ集めであったという事例が出されていました。NHKの番組で,ある機関に寄せられた国民からの意見書が同一文書に占められていたと報道されていました。
 学生のレポートもネット検索してコピペしたものがまかり通っているそうです。あちこちの文章を切り貼りすれば,短時間でそれなりのものができあがります。見方によってはカンニング行為と同類です。
 もちろん,公表されている統計資料などは,利用されることを前提にしています。積極的に利用すべきです。通常は,ある判断をする上で必要な情報として引用され,論拠にされます。その因果関係論をそっくりそのままコピペするのは,ルール違反です。せいぜい参考としての引用止まりです。どのような形がしてはいけないことかという線引きは,ケースバイケースで一概には決まらないでしょう。決めてしまうとかえって,抜け道ができてしまいます。
 自分のものではない文章は,コピペしてはいけないと思っていた方がよいでしょう。文章には書いた人の考察が込められています。言葉一つ一つを選んでいるということです。文章と文章の間をどのような間合いにするかということも書いた人のオリジナルです。句読点によって区切られた部分は,書いた人が設定した思考の階段の段差なのです。その段差の間に,著者独特の暗黙の思考が埋め込まれています。同じことを書いても,人によって文章は違うものです。
 コピペの蔓延は,著作権の侵害という問題に止まりません。人から考えるという作業プロセスを奪っていきます。その先には創造能力の欠落が待ち受けています。コピーはコピーに過ぎないのです。コピーであることを表明してあればまだしも,あたかも自前のものとすれば,品性が疑われ,信頼の糸が綻ぶことになります。
 コピペによるまやかしを逃れるためには,パソコン上のコピペではなく,自らのブレイン能力を使ったコピペをすることです。頭にコピーして,自分の言葉でペーストすればいいのです。そのプロセスを経ることで,自分の中にある思考とのブレンドが起こるからです。コピーとペーストの間に,自分のシンクが介在することで,創造というテーストが練り込まれます。
 どのような種類のものであっても,文章は頭を使って書くものです。だから,頭が喜ぶのです。

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(2008年09月28日号:No.444)