《うれしさは なすべきことを 探すとき》

Welcome to Bear's Home-Page
ホームページに戻ります

家庭の窓にリンクします! 家庭の窓

 NHKのテレビで双子の似ているところと似ていないところを考える番組がありました。その中で,ロンドン大学のスペクター博士が行った研究が紹介されていました。遺伝子が同じ双子を調査して遺伝子による影響の度合いを見積もったものです。近視は89%,音感は80%,甘いもの好きは男性で54%,起業家精神は41%,楽しいユーモアは49%,自虐的ユーモアは34%,浮気は女性で41%と紹介されていました。
 学習課目については,社会や国語の成績は双子でよく似ていますが,数学は違っているそうです。遺伝よりも興味や努力が効いているのです。頭の良し悪しは親の遺伝となんとなく言われることがありますが,当たっている部分とそうではない部分があるようです。
 近視や音感,短距離走などの基本的な身体機能は遺伝子が設定していますが,その上に築かれる能力は後天的な開発の余地があると思われます。簡単に言ってしまうと,頑張りが効くということです。人一人がその頑張りの部分にどれほどの能力が乗せられるか分かりませんが,人それぞれに持ち合わせていけば,社会的な能力は高められていくでしょう。人が集まれば集まるほど,その集積は力強くなります。人一人は限りがありますが,協働という機能を働かせることによって,社会は成長を続けることができました。
 国際化や情報化という連携能力の進展は,繁栄という果実をもたらしてくれます。社会の能力が高まる一方で,個人の力は相対的に小さくなっていきます。専門家でなければ分からないことだらけになり,専門家も他専門については門外漢となります。家庭にあるさまざまな機器の扱いがマニュアルがなければ手が出せないということです。無力感を味わうこともあります。
 より詳しくより高い能力が求められる社会では,学び続けなければならないという思いが迫ってきます。生涯学習という活動が推進されていますが,追いまくられている状況では,広まってはいません。余暇を楽しむという所に埋没しているようです。人一人が持ちうる能力の限界に近づいているのかもしれません。すっかりあきらめてしまった人もいるでしょう。例えば,団塊世代が退職する問題は,社会的に不可欠な能力の継承が滞ることです。町工場にあった地道な技術の習得が省みられずに,活力の収縮が起こっています。
 汗水して努力するというがんばりが失われるということは,後天的な能力の減退につながります。できることをすればいいという気のゆるみが,この先に何をもたらすか,じっくりと考えてみる思慮深さを維持したいものです。
 金融不安による100年に一度の不況風,それは現在人に向けられた警鐘なのです。政治や経済の世界で人の揚げ足を取って得意がっているていたらくを後世の人はなんと見るでしょう。バベルの塔を作っていた人と同じ愚かさを見いだすかもしれません。人にどうしろという前に,自分はどうするということを考えるときです。We can do, We will do. しっかりと受け止めたいと思っています。

ご意見・ご感想はこちらへ

(2009年03月01日号:No.466)