《うれしさは 新と旧との せめぎ合い》

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 毎年のことですが,4月は新しい出会いがあります。非常勤で通っている専門学校では,毎年同じ学年を受け持っていますが,それは毎年学生が入れ替わるということです。学生は進級していますが,講師は落第して居残りですので,先に進むことがありません。同じ年代の若者とだけ付き合うことになり,気持ちが若いままになります。それがいいことか悪いことか分かりませんが,職業病と言えるのかもしれません。
 関わっている組織でも,任期が設けられているので,メンバーの交代があります。再任を妨げずという条項があるお陰で,なんとなく居残りしており,迎える立場になっています。新しい息吹が吹き込んでくる楽しさがある一方で,組織の流れを維持することも必要になります。居残り組と新参組がせめぎ合うことで,新しい展開が産まれてくることを期待しています。
 どのような組織でも,古参と新参の軋轢があります。とかく古参は新参をうさんくさく見がちですが,その壁を突き崩す勇気を出さなければ組織の発展はありません。人は日々変わっていきます。変わらないことを願うのは生きていることに対して矛盾しています。組織は人のためにあるものでれば,組織も変わるのが当然です。確かに,人には外的な異物に対する抗体機能があります。一方では,免疫機能を発揮して強くなることもできます。頑なに拒否するだけではなく,受け入れていく柔軟さが必要です。
 保守と革新という言い方がありますが,それは人それぞれが持ち合わせているものです。何でも保守する,革新するというのではなく,ことに応じて変幻自在であっていいものです。保守するものもあれば,革新していくものもある,そのバランスを維持すればいいのです。生きている組織というのは,保守と革新が混ぜ合わさっている状態を保ち続けられる組織です。
 組織の中では古参ですので,さしあたって保守の立場になります。ただ,あまり従来にこだわる質ではないので,いつも新しい感覚をつかもうとしています。組織ですから何らかの活動をしていますが,今年はどのような方向に進めていくかと変わろうとしています。独りで考えていても,いい知恵は浮かびません。一人の想像力には限りがあります。三人寄れば文殊の知恵です。何も各人が文殊である必要はありません。それぞれの意見を付き合わせていく中で連想という転換が起こり,それぞれが思ってもいなかった新しい意見を掘り起こすことがあります。それこそが寄って考える醍醐味です。古参はその雰囲気をつくっていくことが役目だと考えています。
 落第している楽しみは,新しいことが訪れてくるという期待です。人は人にもまれて成長していきます。身体の成長は大昔に停止していますが,気持ちの成長はまだ健在だと思っています。自分の中で新しいことが起こるのはうれしいことです。

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(2009年05月03日号:No.475)