《うれしさは あいまいなこと 数量化》

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 パソコンのディスプレーから目を左に逸らすと,ガラス戸越しに田んぼが見えます。穂が垂れるほど実っていましたが,9月15日に刈り取りがされていました。田んぼの稲の生長を見ていると,どれほどのお米が取れるのかなんとなく気にしていました。お米の収量について,ネット検索して調べてみました。

 旧い単位の尺貫法とメートル法の換算も絡みますので,この際と思って整理してみます。

 容積  1合=180.39cm3  10合=1升  10升=1斗  10斗=1石=180.39リットル
 面積  1坪=3.30578m2  30坪=1畝  10畝=1反  10反=1町=9917m2
      1a=100m2    100a=1ha
 近似  1反=991.7m2〜1000m2=10a  1町〜100a=1ha
 米俵  1俵=4斗=60kg
 米重  1斗=15kg(18リットル) 1合=150g  1石=1000合=150kg
 収量  標準 1反=10a当たり 10俵=600kg  1町=1ha当たり 100俵=6t
      実量 1反当たり8俵(480kg)前後  見積もりとして 1反=10a当たり 500kg
                                 (1m2当たり 0.5kg)
 食量  1食=1合(150g) 3食×365日=1095合〜1石=150kg=2.5俵

 目の前に広がる田んぼ一つでおおよそ3人分のお米が取れるということになりそうです。漫然と眺めている田んぼの風景を,米の量という目で見ると,そこに別の風景が見えてきます。商売をしている人はお客様がお金に見えると聞いたことに通じます。見る人によって,対象の色合いが違うのは,その対象との関係のあり方に依ります。物や人を見るとき,自分がどのような眼鏡を掛けているか,意識することも必要でしょう。
 十人十色といわれますが,それはこちらが見ている対象としてさまざまな人がいるということと,逆にこちらをさまざまな目線を持って見る人がいるということでもあります。人との関わりの難しさは,眼鏡の違いに現れる価値観の多様性です。同じ夕焼け空を見ていても,色の美しさを見ている人,日光の散乱と見ている人,もうすぐ暮れていくと見ている人,ふるさとの空を見ている人,いろいろです。
 対話をしていると,違った目線に出会います。そういう見方もあるのかと思わされます。三人寄れば文殊の知恵,それは視点の多重性という価値観の広がりや深さをもたらすことです。子どもとの対話でも,考えさせられることに出会うことがあります。人が家族を作り社会を作ってきたことで,知恵の深まりが得られます。
 今の世の中,情報化ですから,いろんな目線の話が転がっています。わざわざ対話をする必要などない,そう思うこともできます。家族は要らない一人でよい,社会とのつながりはネットで間に合うという流れになります。それは対話の最も大事な点を見落とすことになります。
 情報との関わりは,端的に言えば,自分の気に入った情報しか見ない,自分の眼鏡と同じ目線の話に片寄るということです。訳が分からない,そういう拒否反応によって,違った目線による情報と出会わなくなります。対話をするときには,逃げるわけにはいかず,違った目線に否応もなく付き合わされます。その強制が目線の反応を促して,正反合という思考の止揚作用に入ることができます。その最も手軽な方法が,数量化するということです。

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(2009年09月27日号:No.496)