家庭の窓
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ある総会での質問について,考えておく必要が出てきました。会計報告の議案に関する質問です。
一つは,「収支決算報告書(案)」というタイトルについて,「(案)とあるのは,この場で変更が可能ということなのか?」という質問です。決算は既に済んでしまっていることであり,監査報告も付記されているので,今更どうにもならないことではないか,それなら修正可能な案というのは不合理ではないか,という趣旨のようです。
決算報告は総会に報告すれば済むというものではないでしょう。議事に掛かる議案として,承認が諮られます。承認手続きが規定されているのであれば,承認前は案という扱いにせざるを得ないことになります。決算報告書という書類を作る事務的な手続きは終了していますが,その書類が組織内の確定した書類になるためには総会の承認手続きが不可欠という意味で案という字を付記しているとみなさなければなりません。念のためという表記と思われます。紛らわしいので,案を付記しない方がいいようです。
もう一つは,「対予算増減額」という計算に関するものです。説明のために数字の例を示します。
収入 | 予算(A) | 決算(B) | 対予算増減額 |
5,000 | 3,500 | △1,500 |
800 | 1,000 | 200 |
支出 | 予算(A) | 決算(B) | 対予算増減額 |
5,000 | 6,400 | △1,400 |
800 | 500 | 300 |
質問は,支出の部で対予算増減額「△1,400」の表記が逆,すなわち△を付けるべきではないという趣旨でした。予算以上に使いすぎたのだから,1400減ではなく1400増であるということです。その方が分かりやすいのではという提案でした。事務局からの返事は,永年この方式で記述しているということでした。
対予算増減額=(B−A)とすれば,収入決算3,500に対して△1,500となり,予算より減となります。一方で,支出決算6,400に対して1,400となり,予算より増となります。すなわち,予算に対しての単純な増減を計算することができます。これが質問者の考えている計算です。
ところで,上記の決算報告では,対予算増減額を,収入については(B−A)と,支出については(A−B)と計算しています。収入については,予算より増えた決算を増加と考える一方,支出については,予算より増えた決算を使いすぎて足りなくなったとして減と考えています。言い換えると,収入増により予算で算出している財産が増えると増加,支出増により予算より使いすぎると財産が減るので減少とみなすという勘定の仕方です。予算より少ない支出は遣い残しで財産が増えるということです。
会計上,正式にはどういう計算が妥当なのか分かりませんので,手元にある諸団体・機関の決算書を見比べてみました。困ったことに,どちらの方式もありました。中には差引増減額として(A−B)の計算もありました。どちらでもよいということかもしれません。とりあえず,それぞれが選ぶしかないと思っておくことにします。
財産が増えるという勘定の方が,幾分幸せになれる方便かもしれません。
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