《しあわせは 暑さの中の 一休み》

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 少し動くと汗ばんでくるような夏の時間です。何をする気も湧かずに,座敷に寝転がっていると,涼やかな風が手足のむき出しの肌に触って流れていきます。仰向けの視線の先には隣家の屋根の向こうに,青空とかすかな白い雲が見えています。高層にある雲でじっくり見ていないと動きが感じられません。夏特有の入道雲に見られる激しさはない雲です。
 ぼんやりして何も考えられないなと思っているうちに,暑いとどうして何も考えたくなくなるのだろうと思い始めました。疑問の言葉を思いながら,それが思考回路につながっていかないのを感じています。自転車のペダルを逆回転に踏んだときに,動輪とのギアが空滑りする感じに似ているなと思ったりします。熱に浮かされて夢うつつという状態の軽いものに相当するのでしょうか。思いつく言葉が上滑りして,虚空に消えていきます。
 思ったり考えたりしていると暑くなります。そうでなくても暑いのですから,これ以上暑くなりたくないので,思考回路を遮断するような保護回路が機能しているのでしょう。そういうときは無理をしないようにします。もう少し涼風の勢いが強くなれば,空冷が効くので,思考回路を稼働することが可能になることでしょう。
 遠くの方でゴロゴロと雷鳴が轟いているようです。気のせいでしょうか,暗くなってきました。西の方は灰色の雲に覆われています。夕立が降ってくるような気配です。降り始めたら,開け放っている窓や戸を閉め回さなければなりません。のんびり寝てはいられません。やれやれ? ぎりぎりまで待っていましょう。閉めたら風を招き入れなくなるので,暑くなります。節電の折,自然の風冷?に頼っているので,手間が掛かります。
 隣地の田んぼから蛙のゲロゲロが聞こえてきました。雨を察知したのでしょうか。と思っていると,静かになりました。蛙もどういう雲行きになるのか,様子を見ているのかもしれません。同じようなことをしているなと,妙に共感しています。寝ていてもつまらないので,どのような状況なのか,立っていって空を仰いでみます。灰色の雲は空一面という広がりではなくて,塊状態で,白い雲の部分,薄青い空の部分も混じっています。どうやら子どもの雷さんが遊んでいるようで,夕立には至らない気配です。
 強い日差しが消えたお陰で幾分か過ごしやすくなってきました。ごそごそ動き始めることにしましょう。小休止のひとときでした。

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(2011年07月17日号:No.590)