《しあわせは 縁と報いに 気がついて》

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 まちの行政区割りとして,当町には24自治区があります。大小の規模に違いはありますが,1つの区はおよそ1000所帯前後です。さらに,区は組合という名で,隣近所の区割りをしています。組合は100世帯規模になります。住民の自治組織として,組合費,区費を納めて,それぞれに毎年度の総会を開いて活動をしています。
 地域活動の最小単位が組合活動ですが,その一つに毎月の缶拾いがあります。組合は回覧や集金などの運営上における分担を図るために班に分かれています。各班が月替わりで組合地域内の道路沿いの空き缶等を拾い集める清掃活動をしています。この活動は当初は全町規模のものでしたが,今ではほとんどの地区で実施されていません。大きな理由は缶が落ちていないという実状があるからです。
 我が組合でも,総会の折に,止めてはという意見が出ることがあります。それを抑えてきた大方の意見は,人の交流の機会を大事にしようということです。毎月第3日曜日の朝8時に集合して出席を取って一斉に組合内を分かれて歩きます。終点に集まって拾った缶等を集めて解散します。およそ30分程度の時間で済みますし,班ごとに交代するので,数か月毎になり,大した負担でもありません。集まることでお互いに出会いがあり立ち話ができるというメリットを大事にしています。
 地域というイメージに馴染むためには,お互いに知り合っているという確信が必要です。近所のあの家にはあの人が住んでいるというイメージを持ちうることです。地域とは人のネットワークなのです。そのためには時と場所を共有する機会がなければなりません。例えば,共同作業・事業をすることです。
 缶拾いという活動は缶がなければ成り立ちません。しかし,回っていると缶以外のゴミもあります。この活動を止めると,少ない缶・ゴミが貯まっていくだけになります。さらには,大人が地域の活動に関わっている姿は,子どもに対する地域の教育力です。缶がないからする意味がないという狭量な判断がまかり通ることは,世の中が浅はかになっていることの一つの事例になります。
 効率優先の考え方に起因する社会活動の不備が指摘されます。それは因果関係にとらわれているところにあります。因果関係には,必ず前提条件が付随しています。前提を抜きにして因果関係を適用すると,想定外のことに出会うことになります。物事は因縁果報という枠で考えなければなりません。前提条件が縁であり,波及効果が報になります。
 缶があるから,缶拾いをする。それが因果関係になります。その逆として,缶がないから缶拾いは無駄である,となります。缶がなくてもゴミがある,というのが縁です。缶拾いにより人の出会うが生まれるというのが報になります。
 人のつながりが希薄になってきたのは効率を求める考え方のせいである,その論は問題を指摘するだけで,解決の道筋は示しません。どうすればいいのかを示さなければ,論調の意味はありません。因縁果報という捉え方を思い起こすことが解決の入口になります。

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(2011年09月04日号:No.597)