家庭の窓
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ペットを家族だと思う人がいます。ペットと一緒に住めることを売り言葉にするマンションもあります。子どもが巣立っていなくなった隙間を,ペットという小さな生き物が間借りしているケースもあるでしょう。昔は若い人に部屋を貸す下宿屋がありましたが,世話をすることがうれしいという気持ちを人は持っているようです。
ペットにする動物として,犬と猫がいます。犬は群れて生活する習性を持っていて,家長をボスと認めることで落ち着きます。母親や子どもによる可愛がるだけの飼い方では,犬にとってボス不在の群になるので,落ち着きのない犬になります。散歩の際に犬に引きずられている様子が見られますが,犬は人を従えている積もりでしょう。ただ,群れたいということから,人に気遣いを示してくれるところが可愛いところです。
猫は単独で生きる動物です。好き勝手にして,気分が向いたら人とじゃれます。その自分勝手さが孤独で馴れないという印象を与えます。雪が降ると犬は喜び庭駆け回り,猫はこたつで丸くなると歌われるように,犬は陽性,猫は陰性という対比も一般的です。
ところで,最近,ペットとしての数は犬よりも猫のほうが増えてきたそうです。世話という点で,犬は散歩をさせなければなりませんが,猫は放っておけばいいという手軽さが選ばれているのでしょう。飼う人は手抜きができるのでいいのですが,近所はネコババの被害を受けて迷惑です。
学生の時は下宿をしていました。よその家庭に居候をすることで世話を受けていました。世話する方とされる方で一つの群生活をしていることになります。最近は下宿屋は消滅し独身アパートしかありません。若者が世話をされることをうっとうしいと思うようになってきたからです。自分の気ままに生活することが好まれてきました。生活スタイルが犬型から猫型に変化しています。
我が家にはかつてレオと名付けられたビーグル犬がいました。生まれたばかりの子犬から十数年間,一緒に暮らしました。連れ合いはレオが息を引き取って以降,生き物はもう飼わないと決めているようです。悲しい思いはもう嫌だという理由からです。
世話をする方はやがて訪れる別れの悲しみを味わうことになります。その辛さから逃れるためには,世話をしないことです。情が移る喜びは喪失の悲しみで相殺されます。若者を下宿させる場合も同じことが起こります。人の世話から逃げていて,みんな猫になっていきます。
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