家庭の窓
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今年は古事記が上程されて千三百年の節目に当たるということです。これは序文を信じてのことで,その序文については数々の異論があるそうで,なんとも落ち着かないことです。年代が曖昧であるということで意味が無いと捨てる愚を犯さずに,存在しているままに古事記という書籍遺産を持っているということを先ずは喜んでおきましょう。
女性に年齢を尋ねるのは失礼であると諭されますが,年齢不詳にすることが正しいことかと詰め寄るのも無粋です。分からないままでいいではないかという懐の深さも,一興でしょう。普通には,年齢は,住所・氏名とともに,人を特定する基本情報です。
ところで,情報化社会の中では,住所・氏名・年齢とIDナンバー・パスワードという英数字で個人を特定するので,なりすましが容易になったために,個人情報として秘匿されるようになりました。昔は対面での折衝が基本ですから,姿情報というなりすましが困難な確証があったので,個人情報といった秘匿概念は必要ではありませんでした。不便になったものです。
福岡県民意識調査で、幸福感を10点満点で採点してもらった結果が公表されていました。幸福実感は,「とても幸せ」の10点から「とても不幸」の0点まで,1点刻みで採点してもらうものです。最高は40代女性の6.91点で,最低は30代男性の5.71点ということです。平均は6.44点で,内閣府の調査の平均6.46点とほぼ同じでした。
幸福実感は10点満点ですが,100点満点にすると,平均点は64.4点となります。このランクの数字は,試験の平均点とダブってきます。評価点でいえば,優・良・可の可であり,合格点です。40代女性は69.1点と良に近くなりますが,30代男性は57.1点で不可,つまり不合格となります。試験評価になぞらえたらこうなるというだけのことで,特段の意図があるわけではありません。
数字が出てくると,そこには価値尺度の序列があります。試験の点数は正解という価値の序列ですが,そこに合格・不合格という評価が重ねられます。評価では,例えば,80点以上が優,70点以上が良,60点以上が可,60点以下が不可と分けて,60点以上が合格,以下が不合格と評価を下します。この境界点は評価する側の勝手な思い込みです。もちろん,それなりの了解がなされていなければなりません。
数字の意味,それは数字そのものにあるのでは無く,数字を読む側にあるのです。女性の年齢を聞いて,それがどのような評価を生むかは,女性の側にはありません。だから,失礼になるのです。年齢より若く見られたいという,数字と評価の逆転があるということも,不思議ではあります。
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