《世の中は みんなしあわせ そうでなきゃ》

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 金沢からディズニーランドに出かける観光バスが,途中の高速道で防音壁にすり寄って切断されるという悲惨な事故が起こりました。運転手の居眠りによる危険運転の結果だそうです。被害に遭われた方のご冥福をお祈りします。ところで,報道では,関連情報としてレジャーバス運行の格安化が取り上げられていました。旅行会社がレジャーの格安化を打ち出す一方で,運行費用のより一層の格安化をバス業者に押しつけている構図が見えてきます。やすくても受ける業者がいるという無謀な押しつけは,結局は末端にいるドライバーに押し寄せていきます。
 各業者が少しの無理を受けて少しだけ上乗せしながら下請けに転嫁していくと,末端にいる人はすべての無理をまとめて引き受けることになります。それが人の能力を超えてしまうから,事故につながります。途中にいる人は少しの無理を言っただけということで,それほど責任を感じないでしょう。言い換えると,一連の関わった人たちが小さな無責任を雪崩のようにつないで順送りにして,末端にいる人に被せているように見えます。くたばれ格安!と腹立たしくなります。
 利用者は格安が好きです。それでも,程があります。誰かを犠牲にするような格安を図ってはいけません。すべての人に少しの余裕が確保できる段階でコスト削減の手を止めるべきです。旅行業者,運行業者,運転者といった多層なシステムでは,部分的な視野,自分のことしか見えないので,全体としてどのようなことになっているのか見通せません。自分がどんなひどい仕打ちをしているのか自覚できません。やはり,全体を見通せる立場の行政等が効率に対する歯止めを確実に施すべきです。
 最も効果がある改善は,消費者が格安志向を行き過ぎないように自制することです。単純に格安を求めるから,安全が綻びます。レジャーであるなら,きちんと金を払うべきです。遊びに行くのを助けてくれる人には十分な謝礼を出す,そういう豊かさが必要でしょう。自分の遊びのために,他人を苦しい目に遭わせているということは人としていかがなものでしょう。安過ぎるのではと疑いを持つ常識があってほしいものです。安い価格を見るとき,どこか無理しているのではと感じることがあります。そういうときは敬遠します。
 世の中は金の収受で動いています。そこに競争という因子が絡むと,商売の成立が前提となり,安さで引き込もうということが起こります。本来は,売り手と買い手の双方によいところで折り合うべきです。お互いに相応の儲けが出るようにしなければ,社会は豊かになりません。自分だけ豊かになろうというさもしさは社会から収奪するだけで,貧しい社会となり,結局元も子もなくすということになります。双方とも満足,それを壊すような見境のない格安競争は商売の邪道であり,それを許す社会は病んでいます。

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(2012年05月13日号:No.633)