《する立場 される立場と つながって》

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 パソコンのハードやソフトは定期的に更新されます。ヴァージョンアップということで,新規な機能が追加されます。買換えの割引付きの案内が届きます。今のところ間に合っているというか,差し障りはないので,買い換えるつもりはないのですが,何となく置いてきぼりになるような感じにさせられます。販売する側の思惑にはめられています。この気分が強いと,衝動買いという一歩を踏み越えていくのでしょう。
 案内を一読して,そうなんだと思いながら,通常の行動に紛れて忘れていきます。ところが,敵も然る者,メールやパンフレットを締切までの間に,数回繰り返してきます。繰り返しの効用を熟知して,口説いてきます。なかなかに手強いのです。今の時期を逃すと,定価販売。今こそがお得。そんなに安くなるなら。滑り込んでいくようです。
 会議で新しい提案をすることがあります。論議を進めていくのですが,次の会議のときには数歩の戻りがあります。行きつ戻りつを繰り返さなくてはなりません。前回の会議で了解されたのではないのかということが,蒸し返されるので,うんざりします。それを飲み込んで,もう一度話を進めていく繰り返しです。人の決心を方向付けるのは一筋縄のことではありません。根気よく迫っていく,口説きのしつこさが必要です。
 勧められる際には向けられる手管にうんざりする一方で,しつこく勧めなければならない立場に立つこともあり,攻守所を替えて逆の結末を期待する矛盾に突き当たっています。どこまでかで折り合うという結末が可能であれば,幾分かは楽でしょう。五分五分の折衷案という所に落とし込むのが,大方の行方でしょう。
 勧めるという状況は,変化に向かう道で出会うものです。変化を是とするか否とするか,決断して,以後歩む道を選ぶことになります。基本的に人は今のままでいいという保守の立場に立ちます。よほど困ったことがなければ,変わりたくないのです。しかしながら,他との関係の中で生きていく限り,常に揺らぎが押し寄せてきて,臨機応変に対処するという変化を強いられます。しようがない,しかたがない,と自らに言い聞かせながら,受入れていきます。
 今のままでは先行き行き詰まるという見通しがあると,変わらなければならなくなります。いよいよ切羽詰まらないと動き出さないのが常ですが,用心深く振る舞おうとすれば,変化を決断するのは容易ではありません。変化がいずれは必要だと分かっていても,今でなくてもいいのではという思いが振り切れないからです。したがって,勧誘する側になったときには,今すぐでなくても,という躊躇のブレーキを,期限というストレスを与えることによって解除させることが必要になるのです。
 人に何らかの働きかけをしようとするとき,される側の思いを勘案することが大事です。そのためにできることは,自分がされる側にあるときのことを思い出すことです。もちろん,働きかけられるときには,逆の立場を思い出すことです。

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(2013年02月10日号:No.672)