《考えた 跡を留める 紙文書》

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 16年間勤めた町の委員を辞職しました。少しばかり長居をしたかなということで,身を引きました。町の委員の会長を基盤に,地区の会長,県組織の副会長と成り上がってしまい,関連の充て職も降り積もってきて,結構重い任務になっていました。会議資料などのファイルも,かなり積み上がって収納が窮屈になっていました。
 辞任したことを契機として,終わった職務につながる文書類は破棄しようと思い立ちました。段ボール箱を倉庫から引きずり出して,年度別のファイルをほどいて,廃棄に向けての選別を始めました。まとめに類する文書は,しばらくは保管しておこうということで選り分け,その他の会議資料はほとんど目を通さずに廃棄です。
 記憶の外にある古い文書については,いともあっさりと廃棄と決断できていたのですが,直近のファイルについては,記憶が鮮明で,捨てることは躊躇されて,ついには,昨年度分は丸ごと記念として残しておくという決断に至りました。
 充て職関連の資料は,ほとんど息が掛かっていないものですので,丸ごと廃棄のつもりでした。ところが,取り次ぎの労を取っていただいた方の短い連絡文書が目についてしまいました。県組織の関係で一度ならず数泊の旅をした仲であり,それなりに思い出深いつながりを持った方のメモです。文書に未練は感じないのですが,メモ書きの先にいる人とのつながりを感じてしまうと,急に寂しくなってきて,手元に置いておくことになりました。
 何やかやと言い訳をしながら,ことさら残そうとしているようですが,それはごく一部です。段ボール箱は何箱も空きましたし,押し入れに山積みしていたファイルを激減させました。しかし,実はもう一つの委員職が残っており,こちらも町,地区,県の役職がくっついており,既に10年分の資料が貯まっています。まだ現役なので,資料は保管しておくことにしています。倉庫や押し入れなどが空になるには,もう数年待たなければならないようです。
 ところで,文書類といえば,ファイルされているハードコピーの紙の山の他に,パソコンのメモリにあるフォルダーに納められているソフトデータもあります。こちらは,場所的な邪魔にはならないので,そのまま残しておくことができます。自分が関わった文書類は電子化したデータとして整理してあるので,紙データは無くしてもいいという気分があり,紙データを廃棄することにそれほど迷いはありません。ソフトデータの保存に関しては,二重のバックアップをとっておくという用心はしています。
 一つの心配は,文書ソフトが消滅したり極度に進化して,古いデータを読み込めなくなるという事態です。ビデオテープと再生装置の盛衰という事例がありますので,あながち希有なことではないでしょう。データの単純なバックアップだけではなく,新しい媒体への読み換えをし続ける必要がありそうです。その点では,紙記録は寿命が長いという利点があります。ただ,ここの場合は個人的な保存ですので,深く考えなくてもいいでしょう。

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(2013年04月21日号:No.682)