《しあわせは ひまな時間が あってこそ》

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 英国の外務大臣であったサー・エドワード・グレイが,人間が幸福である条件を4つ挙げています。
   第1 自分の生活の基準となる思想。
   第2 良い家族と友達。
   第3 意義のある仕事。
   第4 閑を持つ事。
 「これらの条件の中で,閑を持つ事,というのは人はそれ程大切な条件と思わず,見落とすかもしれず,面白く思った。僕たちなどには,ある意味で,退屈ということは必要だ。朝から晩まで閑なしに,働いたり,一つ事を考えているようでは困る」。志賀直哉が書いているそうです。
 閑があるので,条件をチェックしてみます。第1の思想? 生活の中で拘っているものは何となくは在りますが,思想というほどのものではありません。卑怯な真似はしない,嘘はつかない,弱い者いじめはしない,といった事などが思い浮かんできます。
 第2の家族と友達。いるのが当たり前ですが,問題は良いかどうかです。私にとって良いかどうかというのであれば,いてくれてありがとうという状況なので,条件はクリアしていると考えてよいのでしょう。他人事ながら,未婚の方が増えているようで,良い家族につながらないことを心配します。
 第3の仕事。仕事とは,本来何らかの意義あるものであるはずです。わざわざ,意義のある仕事と断っているところが,考え込まされます。悪い仕事でなければいいのではと,軽く考えておきましょう。給料がもらえる仕事だけではなく,ボランティア活動という仕事も含めていいでしょう。
 以上,3つの条件は,十分であるかは別として,一応満たされていることにします。最後の,第4の閑。暇を持て余すことはあまりないのですが,閑はどうなのだろうと迷います。これまで,閑について改めて考えたことはありません。閑があるとろくなことはない,そんな風に思い込んできたので,この第4の条件は奇異に感じます。あくせくと忙しいばかりでは,幸せではないのでしょうか? 幸せであるということを感じるためには,閑でなければならないということかもしれません。
 ゆったりとした気分の時,無為の時間,それは睡眠とは違った大事な時間なのかもしれません。閑な時間に閑について考えてみることにしましょう。

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(2013年06月09日号:No.689)