《データーを 分けてつなげば 見えてくる》

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 久しぶりにデータ分析をしました。全国規模で行っているある事業に関わってくれる人数の当県における経年変化のデータがあり,そのまとめをしようということです。実は他県で一つの先例があり,何かというと引き合いに出されているのですが,当県の自前のものがないという情けない状況を横目に眺めていました。自前のデータのまとめをする必要があるという気運が湧きあがるのを待っていましたが,しびれを切らしました。
 単純なデータ集計をいくつか手にする機会があったので,勝手に仕事をしてみようという気になり,数日関わってきました。データ処理は集計表の組み替えなどなので,ほんの数時間で終わりました。グラフをいくつかのパターンで揃えた後,その読み取りが分析の中心になります。パラメータ毎の変動の理由や背景を考察するという分析が本筋なのでしょうが,そのような研究志向のまとめは,誰も求めてはいないはずです。事業の対象者の属性毎の傾向を読み取り,事業としての取組に反映できる事実を抽出することにしました。
 実は,先例となっている他県のまとめは,さまざまなパラメーター毎に数表化・グラフ化しただけのまとめであり,何かを読み取るという考察は全くなされていません。したがって,ただの事務的な集計に止まったものであり,素材的な利用価値しかないものとお蔵入りしています。データを整理したらどういうことが分かって,どういう風に取組にいかすことができるか,そこまで示さなくてはまとめにはなりません。皆が求めるまとめとはどういうものであるのか,自分だったらこういうまとめがほしいというものを作ろうとしてみました。
 まとめる際の大事なポイントは,データ・グラフに語らせるということです。グラフから見えてくるようにしておき,こう読み取れるでしょうと解説を加えておくようにします。それは誘導ではあるのですが,グラフがきちんと説得をしてくれます。読み取ったことを事実として,もう一歩だけ論理的な展開を加えておくと,いろんな所とのつながりができて知恵の利用が進みます。その例を加えておくことで,まとめが完成します。
 はじめに読み取りたいことを決めていると,データ処理に片寄りが出てきて,色のついた結果を作り出してしまいます。まっさらなデータ処理をすれば,思いもよらない発見が現れてきます。やはりという結果も必要ですが,そんなことがという想定外の結果が現れると,うれしくなります。データ処理を素直な形にしたお陰で,今まで見えていなかった事実がグラフに浮き出してきました。データ分析の楽しさを,久しぶりに堪能しました。まとめは,皆に提供するつもりです。

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(2013年07月07日号:No.693)