《行きずりの 御縁があって 生きていく》

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 夕方暗くなって外出先から帰宅して玄関の扉を開けたとき,家の明かりに向かってクマゼミが真っ先に飛び込んでいきました。玄関脇の樹木に止まっていたのでしょうが,人がそばを通ったので驚いて飛び回っているところに,パッと闇に広がった明かりが道案内をしてしまったようです。玄関の中に飛び込んだのはいいのですが,止まるべき木などありませんので,あちこちにぶつかりながら飛び回り,やがてバタバタとどこかの隅に入り込んでいきました。
 中に入って追い出し用にうちわを持って玄関に戻り,最後に音がしていた付近でセミの姿を探しましたが,見当たりません。とうとう探し出すことができないまま,諦めました。また動き出したら居所が分かるだろうと様子を見ることにしました。外に出してやらなければと気になっていたのですが,その夜は音沙汰のないままに過ぎてしまいました。
 朝になって,家の周りの樹木からはクマゼミの鳴き声が辺りに響き渡っています。その中で,連れ合いが玄関の方でかすかな鳴き声がすると言い出しました。念のためにと確かめに行きましたが,玄関は静かで,目の届くところには姿が見えません。諦めて土間から上がろうとして足元の木の踏み台に目を落としたとき,裏からしがみついているセミの姿がありました。こんなところにいたのかと思いつつ,上の方ばかり見ていたので見つからなかったようだと反省です。そっと手を伸ばし捕まえて,玄関の外に放してやりました。あわてて飛んでいきました。
 ヤレヤレと,気になっていた案件が片付いてホッとした気分でした。クマゼミ一匹と行きずりに関わり合いになって,短い夏を過ごす時間を無駄にさせたくないと思うと,自然から隔離した状況を脱するために手を貸してやりたくなります。精一杯生ききれることを願います。
 窓の外のセミが止まっていた枝に,トンボが止まるようになりました。いっときの共同生活となりそうです。早朝に出掛けたラジオ体操をしている神社の境内では,セミの大合唱が聞かれます。日が昇ると静かになります。夕方には田んぼの上をトンボが舞います。いつもの夏の風物詩がそばにあります。

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(2013年08月04日号:No.697)